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三井リアルティ ITベンチャーと組みスマホで駐車場を予約・決済 狭小スペースでも収益化可能に

 三井不動産リアルティ(本社:東京・霞ヶ関、山代裕彦社長)がITを利活用した空き駐車スペースの貸し出しサービスに乗り出す。ITベンチャーエスキュービズム(本社:東京・芝公園、薮崎敬祐社長)が開発したスマートフォン対応の予約・決済システムを採用、狭小スペースであっても、土地オーナーは大きな投資をすることなく駐車場収入を得ることができるようになる。ITの利活用で不動産のシェアリングに弾みがつきそうだ。


記者会見が行われたのは東京・六本木の東京ミッドタウン カンファレンス。会場費のせいか45分というのはちょっと短かった、かな?


左:片岡純市氏(三井不動産リアルティ常務執行役員)/右:藪崎敬祐氏(エスキュービズム社長)

当面はコインパーキング

 新サービスの名称は「toppi!」(トッピ!)。一説に神奈川県横浜市界隈を発祥とされ、一部の小・中学生の間で「この席とっぴ〜(取った〜)」のように使われた言葉に由来する。常務執行役員・リパーク事業本部長の片岡純市氏は、「当社が名付けて現在は普通に使われているリハウスという言葉と同じように、toppi!が普及するように頑張りたい」という。
 システムはエスキュービズムが開発したスマートフォン対応の駐車場用予約・決済システム「eCoPA」(エコパ)を採用、ネット上に「toppi!」の専用サイトを設置する。利用者は「toppi!」のホームページまたは専用アプリをスマートフォンにダウンロードしてログインする。土地オーナーが三井不動産リアルティと契約を結んで登録すると、利用者が検索・予約できるようになる。終日(前日の深夜0時から当日の深夜0時まで)の料金設定とし、事前のクレジット決済を採用する。
 「eCoPA」は貸し駐車場に車番認識カメラやセンサーを内蔵したポールを立てるのが標準。それにより車両の到着と離脱を検出、料金をクレジット決済で引き落とす。しかし「toppi!」は三井不動産リアリティの「リパーク」をはじめとするコインパーキングへの適用を想定しており、カメラや専用ポールを設置する必要がない。また狭小スペースの土地オーナーの場合には車両止めのフラップ版や精算機、ゲートといった初期投資なく貸し駐車場の収入を得ることができるようになる。
 三井不動産リアルティでは首都圏の自社運営コインパーキング「リパーク」の500車室で11月1日にサービスインし、名古屋・大阪地区に展開するなどして年内1000車室の体制を整える。初年度10万人の利用を目指している。

AIで混雑状況を予測することも

 今回のサービスは、三井不動産リアルティにとっては、スマホアプリで会員登録した利用者のリピートを勧誘することでコインパーキング「リパーク」の空き車室を埋め、稼働率を高めるのがねらい。さらにこれまで貸し駐車場にはならないと判断されてきた家屋の軒先きや空き地などを、1日駐車場として「リパーク」ビジネスに取り込むことも視野に入れている。
 「リパーク」としての質を維持するため、道路と駐車スペースの取り付き状況や車室の面積(幅と長さ)、誘導ラインの有無などを同社の従業員が確認またはコンサルティングすること、法人用クレジットカードや請求書発行に対応することなどを予定しているという。本業で取り組んでいる住宅住み替え事業(リハウス)、100%子会社カーシェアリング・ジャパンが展開しているカーシェアリング事業と組み合わせ、「シェアリング・エコノミーを追求していきたい」(片岡純市氏)という。
 またリパーク事業推進本部長の吉田儒央氏は、「どんな人が使っているのか、どんな課題を持っているか見えやすくなるという利点がある。地域サービスとの連携で様々な活用も考えられる」としている。
 一方、システムを提供したエスキュービズムの薮崎敬祐社長は、「toppi!は当面、スマホ対応の予約・決済サービスにとどまっているが、近い将来には新規登録の土地オーナーからIoT化するニーズが現出することを期待している」という。併せて同社では、「eCoPA」もしくは「toppi!」の付加価値を高めるため、「3次元バーチャルリアリティ(3DVR)技術を駐車場へのルート案内に応用したり、AIで駐車場の混雑状況を予測しその情報を利用者に提供することも検討したい」としている。
 同社取締役の竹下真典氏は、「曜日や時間、イベントの有無など需給バランスに応じた駐車料金の設定も可能だし、宿泊施設を予約する際に一緒に近隣の駐車場を予約できるなど、車での行動がもっと便利になるはず」と今後を展望する。

【参考】 総務省の『社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究』(2015年)によると、「車で外出した際に空いている月極駐車場や個人所有の駐車スペースに一時的に駐車できるサービス」の利用意向は56.5%で、「モノ(楽器・自転車など)」(31.2%)、「家事やペットの世話などの仕事」(26.5%)といったその他のシェアリングサービスと比べて高い数値となっている。スマホで駐車場を予約するサービスの需要は大きいようだ。