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12月決算79社 2015年業績は増収減益

CMJ、トレンドマイクロガンホー楽天など減速

ICT関連株式公開企業のうち12月決算79社の2015年業績がまとまった。売上高は前年同期比△4.2%、本業の利益を示す営業利益は▲5.8%、営業利益率は9.7%(▲1.0p)だった。前年同期比を見ると売上高は2013年△11.2%、2014年△4.7%、営業利益は2013年△28.8%、2014年△11.8%だったので、減速傾向がくっきりした。(△はプラス、▲はマイナス、pはポイント)

△4.2%の増収、▲5.8%の減益

 この10年間に新規上場した企業の少なからずが、3月期決算ではない。なかでも12月決算企業群は2005年以後の株式公開が28社、うち2014・2015年が19社。気がつけば計79社と、動向分析の参考になるレベルに達している。そこで12月決算期の企業群についても、2015年通期業績を分析してみよう。
 ちなみに12月期決算企業79社で株式を公開したのが最も早いのはキヤノンの1949年、業態別の平均は「受託型」が2003年、「ネット型」が2010年、「製品販売型」が2003年となっている。
 さて、本論に入ると、79社の売上高は7兆1,420億42百万円で前年同期比△4.2%、営業利益は6,897億61百万円で▲5.8%、経常利益は6,881億21百万円で▲9.0%、純利益は4,105億84百万円で▲30.3%だった。79社のうち最も売上高が大きいキヤノンを除くと、売上高は△6.8%の3兆3,417億71百万円、営業利益は▲9.2%の3,345億51百万円、経常利益は▲8.7%の3,406億83百万円、純利益は▲18.6%の1,903億75百万円となる。
 ちなみにキヤノンの業績は、売上高が前年同期比△2.0%の3兆8,002億71百万円(全体に占める割合は53.2%)、営業利益が▲2.3%の3,552億10百万円(同51.5%)、経常利益が3,474億38百万円(同50.5%)、純利益が2,202億09百万円(同53.6%)となっている。就業者1人当りに換算すると、売上高は△0.3%の1,948.9万円、営業利益は▲3.8%の182.2万円、経常利益は▲9.3%の178.2万円、純利益は▲38.9%の112.9万円だった。
 79社の営業利益率は9.7%(▲1.0p)、経常利益率は9.6%(▲1.4p)、純利益率は5.7%(▲2.8p)だった。キヤノンを除く78社の営業利益率は10.%(▲1.8p)、経常利益率は10.2%(▲1.7p)、純利益率は5.7%(▲1.8p)となっている。
 総就業員数(暫定値)は29万7,125人で△2.4%、1人当り売上高は2,403.7万円で△1.7%、営業利益は232.1万円で▲8.0%だった。同じようにキヤノンを除いた総就業員数は10万2,127人で、前年同期比は△3.9%、1人当り売上高は3,272.2万円(△2.8%)、営業利益は327.6万円(▲12.6%)だった。全体の業績も増収減益だが、就業者1人当りのほうが減益幅が大きくなっている。

減益要因はトレンドマイクロ

 12月期決算企業群が特異なのは、企業数で「ネット型」が、売上高構成比で「製品販売型」が多い点。株式公開525社全体の売上高に占める割合を業態別に見ると「受託型」が7.9%、「製造型」が63.3%、「ネット型」が3.6%、「製品販売型」が7.0%となっている。これに対して12月期決算企業群では、キヤノンを除く売上高に占める割合は「受託型」23社が15.7%、「ネット型」38社が37.4%、「製品販売型」が16社で46.6%となっている。
 「製品販売型」16社の2015年業績を見ると、売上高は▲0.2%の1兆5,556億99百万円、営業利益は▲2.6%の1,017億00百万円(営業利益率6.5%)、経常利益は▲2.1%の1,075億50百万円(経常利益率6.9%)、純利益は▲4.9%の635億97百万円(準利益率4.1%)だった。中間期業績(2015年1~6月)の前年同期比(売上高:▲3.0%、営業利益:▲11.7%、経常利益:▲11.1%、純利益:▲11.1%)からすると減収減益幅は圧縮されたものの、24億84百万円の減収、27億53百万円の減益(営業利益ベース)となった。
 集計企業数は2014年と変わらないので、1社当り業績の前年同期比は変動しない。また就業者数は△0.6%の4万412人(正規雇用3万6,050人、非正規雇用4,362人)だったので、就業者1人当り売上高は▲0.7%の3849.6万円、営業利益は▲3.2%の251.7万円、経常利益は▲2.6%の266.1万円、純利益は▲5.4%の157.4万円だった。
 減収の要因はシステム販売業のキヤノンマーケティングジャパン(CMJ)の売上高が6,460億02百万円、前年同期比▲2.0%となったこと。しかし同社の営業利益は△6.2%の266億47百万円なので、「製品販売型」16社の減収幅を圧縮する役割を果たしている。CMJに次ぐ大塚商会は、売上高が6,090億45百万円で前年同期比△0.5%、営業利益は373億11百万円で△0.6%と微増にとどまった。一方、減益の要因はライセンス販売業7社の営業利益が▲9.3%と落ち込んだこと。そのうちトレンドマイクロの減益額は26億76百万円で、16社の減益額34億04百万円の78.6%を占めている。

ネット型 企業ごとに明暗

 売上高構成比が最も大きな「製品販売型」の業績が、全体の動向に大きく影響すると考えるのは無理もない。ところがキヤノンを除いた78社の売上高は△6.8%、営業利益は▲9.2%、経常利益は▲8.7%、純利益は▲18.6%なので、「製品販売型」が増収幅を押し下げたのは事実だが、減益の主犯ではないことになる。
 そこで「製品販売型」に次ぐ売上高構成比を持つ「ネット型」38社を調べると、売上高は1兆2,500億31百万円で△15.7%と2けた増だったものの、営業利益は1,991億49百万円で▲12.7%と大きく減少した。また経常利益は1,958億61百万円で▲13.4%、純利益は1,034億01百万円で▲30.3%だった。「製品販売業」と同じく、集計社数は同じなので1社当り業績の前年同期比は変動しない。
 就業者数は△6.3%の2万3,825人(正規雇用2万1,119人、非正規雇用2,706人)だった。これにより就業者1人当り業績は、売上高が5246.7万円で△8.9%、営業利益が835.9万円で▲17.9%、経常利益が822.1万円で▲18.6%、純利益が434.0万円で▲34.4%だった。引き続き高い収益力を維持しているが、営業利益率は15.9%で2014年実績から▲5.2p減少した。
 ネット型の収益性を落としたのは「オンラインゲーム・サービス」だった。業績の前年同期比は売上高が▲5.7%だったが金額にすると▲109億28百万円、営業利益は▲22.2%で▲209億52百万円と大きく落ち込んだ。ガンホー・オンライン・エンターテイメントが売上高▲187億40百万円、営業利益▲218億58百万円、経常利益▲209億18百万円、純利益▲186億06百万円となったのが大きく響いた。
 このほか、楽天の営業利益▲117億08百万円、経常利益▲122億58百万円、純利益▲261億78百万円が目につく。「ネット型」企業の減速というより、明暗がはっきりしたというべきだろう。