南相馬市で満田正氏と会う
そうした疑問は、南相馬市で継続して放射線量を計測している満田正氏の話を聞いてかなり解決した。DC-100は簡易な空間線量計測装置としてはよくできているが、その数値を論文や証明などのエビデンスとして使うほど厳密ではない、ということだ。
同じメーカーの同じ製品でも違う
同氏は『体系性の破壊とその論理ー自然科学概論ー』の著作を持つ研究者で、フクイチ事故以来、率先して放射線量モニタリングのボランティアに参加し続けている。南相馬市の特定避難勧奨地点指定解除について、その解除は違法として同地点と周辺の住民132世帯535人が起こした訴訟を、実測データで支援している。今回はIT記者会のメンバーの紹介で、たまたまモニタリング活動中の同氏に会うことができた。
「放射線量は天候によっても風向きによっても変わるし、同じメーカーの同じ装置でも違う数値を示すことが珍しくないんです」
満田氏は言う。モニタリング活動で使用するのは環境省ガイドライン「シンチレーション式サーベイメータ等のガンマ線を測定できる空間線量計」で、複数台を並べて一斉に動作させ誤差を確認する。加えて住宅1戸につき10か所以上を繰り返し測る。そうしたデータの積み重ねが、法廷論証を支えている。
満田氏の話は別稿に詳述するとして、ここで分かったのは、測定に当たっては、地表からの高さや測定器の角度などがポイント、ということ。低線量の場合は誤差が小さいので、測定方法の影響を受けにくいが、高線量の場合は4割ほど低く出ることがある。正確さを求めるなら繰り返し測るべきだが、とりあえずの「目安」にはなる。ということで、ツアー中にあちこちで測定した放射線量の一覧をまとめてみた。