ICT関連305社の2015年度中間期業績
3月期決算のICT関連株式公開企業305社の2015年度中間期業績がまとまった。売上高は前年度同期比3.84%増の42兆5,697億31百万円、営業利益は同11.24%増の3兆1,889億63百万円だった。また就業者数は263万427人(うち非正規就業者は28万7,604人)で、0.7%増だった。これにより、就業者1人当り売上高は3.2%増、営業利益は10.5%増に補正される。営業利益率は0.5ポイント増の7.5%、経常利益率は0.2ポイント増の8.1%、純利益率は0.05ポイント増の4.6%にそれぞれ改善した。
集計対象企業数は+7社
集計対象は305社で、2014年度中間期の集計対象企業から7社増えた。業態別/ビジネスモデル別の内訳は次のようだった(カッコ内は2014年度中間期からの増減数)。
■電子機器製造:41社(-1)
サーバー、インフラ構築:3(±0)
情報家電、制御機器:5(±0)
電子機器、周辺機器:24(-1)
エンタテインメント装置:9(±0)
■データ通信:5社(±0)
■製品販売:75社(-1)
ゲームソフト:8(±0)
電子機器卸・販売:14(±0)
システム販売:16(±0)
ソフトライセンス:37(-1)
■クラウドサービス:67社(+11)
インターネット接続:3(±0)
ASP:30(+6)
ポータル:7(+2)
広告・情報提供:6(+1)
コンテンツ販売:10(+1)
ネット通販:5(+1)
オンラインゲーム:5(±0)
■受託型サービス:109社(-2)
複合サービス:24(-1)
業務代行:20(±0)
システム運用管理:12(-3)
ソフトウェア開発:59(+3)
登録型人材派遣:4(±0)
「システム販売」は、ユーザーの求めに応じてハード、ソフト、ネットワークおよび、運用要員、コールセンター、データセンターなどアウトソーシング・サービスを組み合わせて販売する形態。SMB(Small-Midrange
Business)市場に普及したオフコンやPCサーバーを対象にモデルが形成された。
今回の調査から業態名「ネットサービス」を「クラウドサービス」に改めた。これまではインターネットを通じてコンテンツを提供したり、広告を掲示するモデルが中心だったが、ここにきてインターネット・ベースのアプリケーション・システムをサービスとして提供するケースが急増したことによる。
集計対象を2期連続比較可能企業290社に限ると、売上高は3.97%増の42兆5503億96百万円、営業利益は11.18%増の3兆1868億50百万円、経常利益は85.38%増の3兆4308億03百万円、純利益は4.87%増の1兆9408億13百万円に補正される。
受託ソフト開発も3社
2014年度中間期業績発表時からの1年間に上場廃止となったのは、ワイ・イー・データ、三井情報、インスパイアー、アイフラッグ、パナソニックインフォメーションシステムズ、アグレックス、コムテック、日本オフィス・システムの8社だった。
このうちインスパイアーは経営破綻、アイフラッグは光通信による株式買収・完全子会社化、コムテックはMBO(Management Buy Out)による。ほか5社はいずれも親会社の事業再編の一環。
新規上場は次の14社だった(カッコ内は上場日、上場市場、業態分類)。
(1)FFRI(2014年9月30日、マザーズ、ソフトライセンス販売)
(2)オプティム(2014年10月22日、東証1部、ASP)
(3)アルファポリス(2014年10月30日、マザーズ、ネットコンテンツ)
(4)ラクス(2015年12月9日、マザーズ、ASP)
(5)弁護士ドットコム(2014年12月11日、マザーズ、ASP)
(6)ダブルスタンダード(2015年12月15日、マザーズ、受託ソフト開発)
(7)ランドコンピュータ(2014年12月22日、東証2部、受託ソフト開発)
(8)インタワークス(2014年12月22日、マザーズ、ポータル)
(9)データセクション(2014年12月24日、マザーズ、ASP)
(10)エクストリーム(2014年12月25日、マザーズ、受託ソフト開発)
(11)MRT(2014年12月26日、マザーズ、ポータル)
(12)コラボス(2015年3月17日、マザーズ、ASP)
(13)エムケイシステム(2015年3月17日、JASDAQスタンダード、ASP)
(14)レントラックス(2015年4月24日、マザーズ、ネット広告)
ビジネスモデル別に整理すると、ASPが6社、受託ソフト開発が3社、ネットポータルが2社、ネットコンテンツ、ネット広告、ソフトライセンス販売が各1社となっている。業態別ではクラウドサービス系が10社、製品販売系が1社、受託系が3社だった。クラウドにかかわるサービスが離陸期を迎えたということができる。受託ソフト開発業にゲーム/エンターテインメント系アプリケーションの受託開発会社が初めて登場した。また「夢展望」(マザース)が9月期決算から3月決算に編入している。
個別就業者数が0.7%減少
ITサービス業界の産業規模は「ざっくり売上高20兆円、就業者100万人」といわれている。ネタ元は経済産業省の特定サービス産業実態調査だが、IT産業の全体像を把握した調査はあまり出ていない。本調査は全体像を把握するための「手がかり」の一つと言っていい。
前振りはこの辺りにして本論に入ると、3月期決算306社の2015年度中間期業績は次のようだった(カッコ内は前年度同期比)。
《絶対額》
売上高
42兆5,697億31百万円(+3.84%)
営業利益
3兆1,889億63百万円(+11.24%)
営業利益率:7.49%(+0.50P)
経常利益
3兆4,328億96百万円(+6.00%)
経常利益率:8.06%(+0.16P)
純利益
1兆9,420億72百万円(+4.97%)
純利益率:4.56%(+0.05P)
※「P」はポイント
2014年度中間期業績に対して、売上高は1兆5737億72百万円、営業利益は3222億34百万円、経常利益は1943億65百万円、純利益は919億34百万円の増加となった。
《就業者数》
正規雇用
連結:234万2,838人
+0.23%
個別: 51万6,592人
-0.64%
非正規雇用: 28万7,618人
+4.14%
平均年齢:40.9歳(+0.46歳)
平均年収:736.7万円(+3万2,076円)
2014年度中間期業績に対して、総就業者数は1万6,713人増加した。内訳は連結の正規雇用者が5,279人、非正規雇用者が1万1,434人だった。連結正規雇用者数に含まれる個別正規雇用者は4,209人減だった。
ハード関連は3.75%の減益
売上高
28兆1,511億44百万円(+2.72%)
営業利益
1兆0,279億60百万円(-3.75%)
営業利益率:3.65%(-0.25P)
経常利益
1兆1,298億54百万円(+14.51%)
経常利益率:4.01%(+0.41P)
純利益
5,250億26百万円(+2.60%)
純利益率:1.87%(増減なし)
正規雇用
連結:182万6,508人
+0.40%
個別: 32万2,319人
-0.04%
非正規雇用: 12万3,580人
+14.78%
平均年齢:42.3歳(+0.2歳)
平均年収:774.0万円(+4万0300円)
《データ通信》
売上高
8兆8,229億95百万円(+4.54%)
営業利益
1兆6,058億07百万円(+15.74%)
営業利益率:18.20%(+1.76P)
経常利益
1兆7,222億68百万円(-3.97%)
経常利益率:19.52%(-1.73P)
純利益
1兆0,253億24百万円(-2.89%)
純利益率:11.62%(-0.89P)
正規雇用
連結:12万3,842人
+0.10%
個別: 2万2,258人
-0.45%
非正規雇用: 5万1,534人(増減なし)
平均年齢:40.6歳(+0.5歳)
平均年収:910.7万円(+4万9,800円)
《ソフト/サービス》
売上高
5兆5,956億28百万円(+8.62%)
営業利益
5,551億96百万円(+34.99%)
営業利益率:9.92%(+1.94P)
経常利益
5,807億74百万円(+26.72%)
経常利益率:10.38%(+1.48P)
純利益
3,917億22百万円(+38.64%)
純利益率:7.00%(+1.52P)
正規雇用
連結:39万2,473人
-0.53%
個別:17万2,843人
-1.98%
非正規雇用:11万2,504人(-3.82%)
平均年齢:38.1歳(+0.7歳)
平均年収:642.5万円(+1万2,300円)