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西日本新聞の皮肉コラムに「下品」「陰湿」と批判集中 というけれど

 このように新聞のコラムが話題になるのは悪いことではない。朝日の天声人語が極端にレベルダウンしているのが対照的だ。「陰湿なイジメ発言」だの「下品」だのと批判するネット人たち、悔しかったら西日本新聞を超える「上品」で「知的」な文字遊びとコラムを書いてみろ、ってんだ。

アベノミクスの反対は「竦みのベア」西日本新聞の皮肉コラムに「下品」「陰湿」と批判集中


2013年10月3日(木)18時26分配信 J-CASTニュース

 「アベノミクスを倒語にすると『竦(すく)みのベア』になる」――。消費税引き上げが決定した翌日の2013年10月2日、西日本新聞安倍晋三首相に皮肉たっぷりのコラムを贈った。
「竦みのベア」はベースアップ(賃金基準の引き上げ)が竦んでいる日本経済と重なる、と説明する。安倍首相が断行した大型経済対策の出鼻を折る言葉遊びに、インターネット上では「陰湿なイジメ発言」「下品にも程がある」と批判が渦巻いている。

2chの方がまだ気の利いたこと書く」と呆れ声

 記事は10月2日付朝刊のコラム欄「春秋」に掲載された。「アベノミクス」が流行語大賞の有力候補だとして、7年前には第1次安倍内閣が掲げた「美しい国」も候補になったと続けるが、唐突に言葉の順序を逆さから読む「倒語」の話題となる。倒語にすると「美しい国」は「憎いし、苦痛」、「アベノミクス」は「竦みのベア」と読めるというのだ。いずれも元西日本短大特任教授の奥秋義信氏から聞いたとし、「経済で最も大切なのは生産力でも株価上昇でもない。作ったものを消費する力です。原点は所得、ベアなのに、竦みのベア、ではねえ」という奥秋氏のコメントを紹介した。

 全体としては今回の経済対策が本来の目的と逸れずに進むよう釘を刺す内容になっているものの、皮肉のこもった「倒語」中心の構成が物議を醸している。インターネット上には「下品にも程が有る」「子供でも、アホな言いがかりって分かるだろ」「恥ずかしいなぁ、こんなもん売るなよ」「便所の落書きこと2chの方がまだ気の利いたこと書くぞ」「完全にヘイトスピーチだろww」と批判的な意見が相次いだ。なお同紙は、今年3月に「アベノミクス」のネーミングセンスについて言及した塩田芳久デスクのコラムを掲載。「古い自分のセンスを疑うべきか。(略)それでもなお、アベノミクスは『チョベリバ(最低)・最悪』と思うのだが」と書いて、同様の非難を集めた背景もある。

 一体どんな記者が書いたのか。西日本新聞社に取材したところ、春秋のコラムは、今回に関しては確認が必要だが、通常は論説委員の1人が書いているという。コラムの真意や批判に対してのコメントなども尋ねてみたが、「この件について特にお答えすることはありません」(広報部)として話は聞けなかった。ホームページによると、「春秋」は60年以上も続くコラムコーナーで、「文章力をアップするエッセンスがギュッと詰まっている」と説明している。

「憎いし、苦痛」は7年前にも話題に

 批判の原因となった2つの倒語だが、西日本新聞が紹介する前にも指摘は複数あった。そもそも「憎いし、苦痛」は、時事回文作りが趣味の大山勇一弁護士による「作品」だ。7年前の06年には中日新聞も特集記事で紹介したほか、山口壮衆議院議員衆院本会議で引用していた。山口議員は得意げに回文を披露し、「一見立派な政策構想が現実には格差を広げ、国民の負担は増える一方。ダ・ヴィンチ・コード顔負けのさしずめ安倍コードですか」と糾弾した。

また、金融投資情報紙「日経ヴェリタス」のポッドキャスト曽根純恵のナルホドそーね」第1回(4月9日公開)では、越中秀史編集長が「面白い発見をした」と「竦みのベア」を取り上げている。越中氏は「ベースアップ」を意味するベアではなく、「弱気の市場」を意味するマーケット用語の「ベア(マーケット)」として捉え、「ベアが一切身動きをとれない。実はこれがアベノミクスの本質」と解説していた。

西日本新聞のコラムはこれ


 今年の新語・流行語大賞は候補がにぎにぎしい…
 2013年10月02日(最終更新 2013年10月02日 10時31分)
 今年の新語・流行語大賞は候補がにぎにぎしい。「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「倍返し」…。安倍晋三政権の「アベノミクス」も有力▼安倍氏は7年前に首相になったときも「美しい国」が候補になった。当時は自著のタイトルや政権構想の旗印として使われたが、現在はこの言葉はあまり聞かれない▼唐突ながら、「美しい国」をひっくり返すと「憎いし、苦痛」と読めるという。倒語にした読み方だ。「種」を「ネタ」、「場所」を「ショバ」などのように、音節や語を逆に読んでつくる語を倒語と呼ぶ▼「憎いし、苦痛」は元西日本短大特任教授の奥秋義信さんから聞いた。RKB毎日放送の記者1期生で、日本語に関する著書が多い奥秋さんは、アベノミクスも倒語にして「竦(すく)みのベア」と読む。ベースアップ(賃金基準の引き上げ)が竦んでいる日本経済と重なる▼「経済で最も大切なのは生産力でも株価上昇でもない。作ったものを消費する力です。原点は所得、ベアなのに、竦みのベア、ではねえ」。奥秋さんの話に、私は給料が増えたよ、と言える人はどれくらいいるだろう▼安倍首相は来春からの消費税増税と大型経済対策を発表した。所得が低い人ほど負担が大きい増税分の使途が目的を逸脱しないよう願いたい。経済対策に含まれる法人税引き下げなどは、竦んだベアを改善させる方向に政策誘導するのが筋だ。いわずもがなでしょうが念のため。=2013/10/02付 西日本新聞朝刊=