IPA『DX白書2021』に見る、日本企業の古色蒼然 | IT Leaders
今年から始まった「デジタルの日」(10月10日・11日)にちなんで、情報処理推進機構(IPA)が『DX白書2021』を発行した。企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて日米でアンケートを実施、その比較を行っているのが特徴だ。「ずーっと先を行っている米国、ずーっと遅れている日本」ということが改めて明らかになっているわけだが、では日本企業の古色蒼然ぶりはどの程度なのか。かつて高機能を極めた国産の携帯電話で知れ渡った「ガラパゴス」、それからノーベル物理学賞で浮き彫りになった「同調しないとやっていけない国」という言葉を思い出す。
『IT人材白書』+『AI白書』の発展形としての『DX白書』
まずは、『DX白書2021』の位置づけから見ていこう。『DX白書』は、情報処理推進機構(IPA)がこれまで刊行してきた『IT人材白書』と『AI白書』に代わるもので、その第1号となる。既刊のものと同様に、本編、エグゼクティブサマリー、記者会見資料などをPDFでダウンロードできるようにしている。IPAは「従来の定点観測は継承しつつ、DX推進のため、経営戦略・人材・技術の3つの視点で総合的な情報をカバーする」と意欲を示している(図1)。
本書の構成はA4判で372ページ(IPA理事長の富田達郎氏による「発刊にあたって」、目次、奥付を入れると全382ページ)、第1部「総論」、第2部「DX戦略の策定と推進」、第3部「デジタル時代の人材」、第4部「DXを支える手法と技術」、付録という構成だ。企業インタビュー(事例14社)や有識者コラム(14篇)が収録されている。
傾聴すべきなのは有識者コラム、参考にすべきなのは事例、とは思いつつ、「DXへの取り組み状況」の日米比較には触れざるをえないだろう。何といっても副題に掲げられ、「総論」の中核という位置づけだからだ。なるほどアンケートで国内534社、米国396社から得た回答を集計・分析したのは力が入っている証拠でもある。
6つの要点から浮かび上がるものは
IPAのプレスリリースによると、「『DX白書2021』の最大の特徴は、日米企業のDX動向について比較調査を行ったこと」とし、その上で、要点として以下の6つの調査結果を挙げている。
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