IT記者会Report

IT/ICTのこと、アレヤコレヤ

NTT R&Dフォーラム2015に行ってきた

鵜浦博夫社長の基調講演

 NTTの研究開発陣営恒例のR&Dフォーラムが武蔵野研究開発センタで開催され、初日に行ってきた。好天に恵まれたのか見学者の出足よく、開場時間を繰り上げるなど盛況だった。経営幹部はクリアなビジョンをしっかり見据えて自信に満ち、中堅マネージャは多彩な研究テーマ、成果状況を狙い毎によくまとめているように見え、そして各展示ブースで説明する若者達は溌剌と楽しそうで、元気をもらった一日だった。


ユーザ企業のイノベーションを手伝う

 まずは鵜浦博夫代表取締役社長の基調講演。
 いきなり日比谷のかつてのNTT本社前での巨大なダイナミックループの社章の除幕式のスライドが示される。幕の紐を引っ張っているのは当時の社長、真藤恒氏だ。
 「今年は電電公社民営化30年、そして持ち株会社移行15年という大きな節目の年である」
 と話が始まる。NTT持ち株会社では電電公社時代を知る人はもはや稀少と言うことである。
 「30年を振り返ると、前半の15年と後半、特に最近の10年はそれまでとは全く違う」
 ということを強調していた。
 民営化時の事業規模5兆1,000億円、現在は11兆円である。何が一番変わったか、それは「ブロードバンドの普及」ということに尽きる。モバイル通信も固定通信もブロードバンドの時代である。
 そしてその大きなインパクトが「クラウド時代」の進展となる。通信の世界はかつてDRESS/DEMOS時代があったことに見られるように、集中と分散の歴史を繰り返してきた。最近の動きを超集中・超分散と表現する人もいる。もしかしたら、ある種の最終段階かも知れないとも感じている、とのことだった。
 こうした流れの中でNTTグループへの一番のインパクトが、「ユーザの選択範囲の拡大」、「利用サービス切りかえコストの低減化」である。ユーザはいつでも、極めて低コストで利用サービスを切りかえられる時代が到来し、一方、サービス提供側では、多種多様なプレーヤーが活発に参加出来るビジネス環境が生まれた。
そして企業の競争力として「選ばれる力」ではなく「選ばれ続ける力」が求められるようになった。
 この競争と協業の時代に、NTTグループは「コラボレーションによる価値創造」を掲げて、ユーザ企業のイノベーションを手伝う「価値のあるパートナ」「ヴァリューパートナ」と呼ばれる存在となることを目指している。

グローバル・クラウド・サービス

 なんとも頼もしい話が続くが、その中で目に留まったことが2つあった。
 一つは「グローバル・クラウド・サービス」の展開状況である。現在NTTグループは中期的に法人海外売り上げ比率50%を目標に定め、その金額は200億$である。そして今年度、海外売り上げ150億$は確実に達成できると胸を張った。つまりNTTにとって法人海外売り上げ比率50%は完全に視野に入ったということになる。あの国内独占企業だった電電公社の民営化30年後の姿として、涙の出るような話である。
 フルスタック、フルライフサイクル、ワンストップサービスという世界にも例の少ないサービス陣容で活発に国際展開し、たとえばデータ通信センタ面積において世界No.1になったそうだ。そのビジネス手法にも、いわゆるクロスセル戦略を取り入れ、多彩なコラボレーションによりすべてを受注できないより一部でも受注してゆく、という手堅い手法も展開している、とのことである。今、NTTグループはグローバル・メジャー・ビッグプレーヤー入りをはっきりと視野に入れてきた印象だ。
 もう一つは「新たなステージを目指して2.0」という中期計画の推進方法である。こうした計画の中に、課題毎に2年、3年、4年と多彩な期限の目標を設定し、これをダイナミックに変えて行く柔軟な計画立案と実施の手法をとっている。いわば、確定的なウォーターフォール、期限死守のWBS方式ではなく、国際的なビジネス環境に則した、フィーチャー型、アジャイル型に近いマネジメント手法の採用である。いうまでもなくビジネス競争ではやってみなくては分からないことが沢山あるわけだ。ここにかつては準官僚機構でもあった電電公社の大いなる進歩を見た気がする。
 そのほか、東京オリンピックのゴールド・パートナーに1番でなった話し、(2番じゃ駄目なんですか?という冗談も)、政府の推進する「地方創生」をグループあげて全面的に支えてゆく話し、東京オリンピック開催時に想定される想像を絶するトラフィック、想像を絶するサイバーアタックに万全の備えを進める話し、社内のセキュリティ人口が現在2,500人なのを早急に1万人にもってゆき、さらに寄付口座などで大学を支援し、セキュリティに関し産学官連携を進めるおはなしなどが続いた。
 このほか技術陣のプレゼンテーションがたっぷりあったが、ここでひとまず筆を置く。ひとことで言うならば、グローバル・ビックビジネス時代に生き、地方創生を大きな課題とし、難しいオリンピック開催の迫るこの日本にNTTグループ、その頼もしいR&D陣営がいてくれてよかったと思える一日だった。
 (注:本件、主催者の許諾を得て取材しています)

続きは http://d.hatena.ne.jp/itkisyakai/20150223