IT記者会Report

IT/ICTのこと、アレヤコレヤ

1人当り純利益 機器製造は25 万円/検索サイトは857万円

 ICT産業の業態・業種別の特性を分かりやすく表現すると、ハードメーカーは「売上高は大きいが利益は小さい」、製品販売業は「付加価値化が課題」、受託サービス系は「マンパワー依存度が高く収益書が低い」、ネットサービス系は「若い産業で利益率は高い」というイメージだ。それを数字にするとどういうことになるか、百聞は一見にしかず、なるべくグラフで示し、若干の解説を加えることにする。企業ベースだと開きが大きいので、就業者1人当たりに換算した数値を用いる。

■ 業種間で売上高に516倍の差 ■

 本稿のグラフでは就業者1人当たりに換算した数値を使うが、とはいえ事業規模がどれほど違うかを見ておこう。そのためには1社当たりの数値が適している。就業者数(連結)と売上高を紹介しておく。

〔1〕就業者数(連結)
●ハードウェア・メーカー
 情報機器・情報家電:7万0,766人
 ゲーム機:1,720人
 電子部品:2,375人

●プロダクト販売
 電子部品・情報機器:1,704人
 ゲームソフト:3,633人
 システム:2,239人
 パッケージ:713人
 ミドルウェア:221人

●受託サービス
 BPO:3,159人
 FMS:1,177人
 ソフトウェア開発:983人
 情報処理・複合サービス:6,762人
 登録型IT人材派遣:6,487人

●ネットサービス
 ASP:228人
 ISP:415人
 オンラインゲーム:1,339人
 広告:1,150人
 コンテンツ:272人
 通販:1,008人
 求人・求職:414人
 検索サイト:1,110人
 ニュースメディア:1,079人

 1社当たり就業者数が最も多かったのは「情報機器・情報家電メーカー」の7万0,766人、最も少なかったのは「ミドルウェア販売」の221人で、その差は320.2倍だった。2015年の最多は「情報機器・情報家電メーカー」の7万2,057人、最少は「ASP」の202人、その差は356.7倍だった。

〔2〕売上高
●ハードウェア・メーカー
 情報機器・情報家電:2兆0,828億39百万円
 ゲーム機:1,723億59百万円
 電子部品:4,728億11百万円

●プロダクト販売
 電子部品・情報機器:950億21百万円
 ゲームソフト:974億17百万円
 システム:935億96百万円
 パッケージ:174億14百万円
 ミドルウェア:40億35百万円

●受託サービス
 BPO:380億83百万円
 FMS:144億54百万円
 ソフトウェア開発:139億18百万円
 情報処理・複合サービス:1,514億33百万円
 登録型IT人材派遣:791億74百万円

●ネットサービス
 ASP:40億30百万円
 ISP:220億92百万円
 オンラインゲーム:642億61百万円
 広告:502億52百万円
 コンテンツ:103億27百万円
 通販:545億67百万円
 求人・求職:66億05百万円
 検索サイト:459億91百万円
 ニュースメディア:310億33百万円

 1社当たり売上高が最も多かったのは「情報機器・情報家電メーカー」の2兆0,828億39百万円、最も少なかったのは「ASP」の40億30百万円で、その差は516.8倍だった。2015年の最多は「情報機器・情報家電メーカー」の2兆1,393億71百万円、最少は「ASP」の34億37百万円、その差は622.4倍だった。

■ 企業ベースと1人当たりの相違 ■

 業種別の売上高伸び率を一覧できるグラフでを作成した。各項目の左側(色の濃い棒)が企業ベース、右側(色の薄い棒)が就業者1人当たり。
 企業ベースで売上高前年同期比がマイナスとなったのは、「情報機器・電子機器メーカー」「ゲーム機メーカー」「電子部品・情報機器販売」の3業種だった。就業者数の増減によって、就業者1人当たり売上高は「情報機器・電子機器メーカー」は減少率が縮小、「ゲーム機メーカー」は増加した。また「電子部品・情報機器販売」はマイナスがプラスに、「登録型IT人材派遣」と「求人・求職」はプラスがマイナスに転じている。
 さらに目を引くのは「ゲームソフト開発販売」「システム販売」を除くと、全業種で企業ベースの売上高伸び率より、就業者1人当たり伸び率のほうが低いという点。ネットサービスの「ASP」「広告」「通販」「検索サイト」「ニュースメディア」の4業種の売上高伸び率は、就業者1人当たりに換算すると、決して突出した伸び率ではないことが分かる。
 なぜそのようなことが起こるかというと、繰り返しになるが、就業者数が増加しているためである。企業ベースの売上高が増加し、就業者数も増加していることを示しているわけなので、つまり市場が拡大していることを意味している。
f:id:itkisyakai:20171211155031j:plain 

■ 際立って高いネット系の純利益 ■

 端的な違い(特性)が出るのは就業者1人当たりの純利益だ。「情報機器・情報家電メーカー」は売上高こそ大きいが、営業利益立が2.7%、純利益率が0.9%と低いため、金額は25.1万円と全業種の中で最低だった。
 それとよく似ているのが受託サービス業だ。「登録型IT人材派遣」は44.7万円で下から2番目、「BPO」は50.2万円で下から3番目、「受託ソフトウェア開発」は51.8万円で下から4番目と、受託サービス系業種が下位に集中している。マンパワーに依存するビジネスモデルが高付加価値に結びついていないだけでなく、IoT/M2Mによる自動化や予防保守が進めば、需要そのものが減退することも想定しなければならない。
 「情報処理・複合サービス」は純利益117.4万円、純利益率5.2%で踏みとどまっているが、多重下請け構造の上位に位置しているがゆえの利益という要素が強い。つまり多重受発注の下位構造が崩れれば、自らの収益源を失うことになる。ネットサービス型またはプロダクト販売型にシフトすればいい、という簡単な話ではない。
 純利益の高さが目につくネットサービス業だが、際立つのは「検索サイト」の857.9万円、「オンラインゲーム」の627.7万円である。最低の「情報機器・情報家電メーカー」の25.1万円と比べると、「検索サイト」は37.2倍、「オンラインゲーム」は25.0倍となっている。この2業種ほどではないが、「通販」280.7万円、「求人・求職」218.4万円を併せ、コンシューマー向けサービスの快進撃が続いている。
f:id:itkisyakai:20171211155056j:plain