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自治体システムに迫る“2025年の崖”─デジタルガバメントの要請が地域SIerを直撃

ここにきて、自治体システムの“2025年の崖”がにわかに現実味を帯びてきた。2022年10月3日、デジタル庁が「ガバメントクラウド(ガバクラ)」に、Microsoft AzureとOracle Cloud Infrastructure(OCI)を追加すると発表、4日後の10月7日、政府は「地方公共団体情報システム標準化基本方針」を閣議決定している。「自治体基幹システムをクラウドで標準化するデジタルガバメント(デジガバ)の目標期限=2025年度末の延長は許さない」とクギを差したかたちだ。ガバクラとデジガバに移行する自治体の年間IT予算は約5000億~6000億円。直撃を受ける地域SIerに変革のときが迫っている。

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自治体システムに迫る“2025年の崖”─デジタルガバメントの要請が地域SIerを直撃 | IT Leaders

【さわり】 

自治体にとって“いいこと尽くめ”だが……

 デジタル庁が所管するガバメントクラウド(ガバクラ)には、これまで、Amazon Web ServicesAWS)、Google Cloud Platform(GCP)が採用されている。今回追加された、Microsoft AzureとOracle Cloud Infrastructure(OCI)を合わせて選択肢は4つ、米国のメガクラウドのそろい踏みとなった。

 「地方公共団体情報システム標準化基本方針」発表と同日の2022年10月7日には、米グーグルCEOのサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏が岸田文雄首相と面談して、「2024年までに日本市場に総額1000億円を投資する」と伝え、ガバクラで一気に優位に、という意欲を示している。

 方針を受けて、地方自治体(区市町村)は、4つのクラウドの特性や利用メリットを勘案して選択し、それぞれの上で稼働させるパッケージ型の標準システムをIaaS/SaaS/ASPの形態で利用することになる。パッケージ型標準システムは、住民基本台帳や住民・固定資産税、国民年金介護保険など、自治体が所管する17の基幹業務だ。標準仕様はすでに完成していて、自治体システム市場で一定のシェアを持つベンダーがそれに準拠したパッケージの開発に取り組んでいる。

 開発と言っても、ゼロから作るのではない。既存システムを標準仕様に合わせて改造(縮退・拡張・変更など)するかたちだ(図1)。それをガバクラに載せ、全国1741の地方自治体が利用する。計画によると、2023年度から移行を開始して2025年度に完了する(図2)。

図1:パッケージ標準化のイメージ(出典:総務省
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図2:デジタルガバメントの移行スケジュール(出典:総務省
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