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OFSC分科会 実証実験の成果を発表 双方向デジタル・サイネージ、77%の人が利用

 オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム(代表理事加藤秀雄氏、略称=OFSC)は4月10日、インタラクティブ・デジタル・サイネージ(双方向電子告知版)実証実験の成果を発表した。株式会社京樽が首都圏に展開する「海鮮三崎港」の新宿イーストサイドスクエア店に設置したシステムを用いて今年1月16日から3月末にかけてのデータを集計・分析した。

 店舗側のシステムは55インチのディスプレー、マイクロソフトのモーションセンサー「Kinect for Windows」、組み込み用OS「Windows Embedded Standard7」、インテルの超小型コンピュータ「NUC(Next Unit of Computing)で構成、これを通信回線でサーバーと結ぶ。モーションセンサーで画面と人の距離や人の動きを感知し、「レッツリー」という名のフィッシング・ゲームをコントロールする。
 具体的には、画面の前(おおむね1m)に3秒以上人が立ち止まると「レッツリー」が自動的に起動、右腕を回転させる(リールを巻く)。それによって釣り上げたもの(魚、イカ、タコ、たい焼き、ゴム長靴など)によって、ハズレか無料クーポン(その画面を携帯電話やスマートフォンで撮影して会計のときに示すと、1000円以上飲食した場合、一皿180円か同250円のいずれか)が当る。集計によると、画面の前に立ち止まった2,187人のうち、76.5%の1,673人(76.5%)がシステムを利用した(フィッシング・ゲームをした)という。
 実証実験を行ったセールスプロモーション分科会の湯沢一比古氏によると、「2012年に行った有楽町ワイン倶楽部(株式会社ダイナック)の実証実験をバージョンアップしたもので、ゲームソフトや画面デザインはデジタルハリウッドと共同で開発した」という。また京樽の佐山和彦・商品本部物流部長は、
 「ゲームで獲得したクーポンの利用は2月と3月で33件だが、写真を撮るのが面倒だったり示すのを忘れたりするケースもあるので、少ないとは考えていない。また順番待ちをしているとき、お子さんを飽きさせないのでファミリー層を引き止める効果もある」
 と前向きに評価している。同店では今後もシステムを設置・利用する。

 OFSCは2005年2月の発足で、外食チェーン店の運営会社12社を中心に、情報処理・計測機器メーカーやITサービス/ソフトウェア会社などで構成、米国のフードサービス・システム標準接続規格策定団体「ARTS」(Association for Retail Technology Standard)と提携して外食チェーン店向けITシステムの標準化を推進している。店舗システム、企業システム、マルチベンダーサポート、仮想店舗などテーマ別の分科会があり、セールスプロモーション分科会は2010年、twitterとインターネットの「食べログ」をリンクした情報発信・共有の実証実験をきっかけにスタートした。
 デジタル・サイネージは複数の動的コンテンツを表示でき、適時の修正や入れ替えができることから、旧来の看板やポスターより人目を引く街頭広告メディアだが、店舗への集客効果や経済効果(売上げ)が測定しにくいとされている。今回の実証実験で測定できたのはダイレクトな集客・経済効果ではないが、双方向機能を備えたことで、間接的だがその有用性が確認できたことになる。
 ただプロジェクトに関与した複数の担当者が認めているように、システムを設置した直後の“物珍しさ”が利用率を高めたことは否定できない。今後は、例えば取り扱い品目や客層、立地状況などに応じ、消費者保有の携帯端末と複合化したマーケティングや、多くの異業種テナントが出店するショッピングモールにおけるビッグデータの利活用、リピート客を増やすための方策といった方向に向かうことが考えられる。