IT記者会Report

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経産省 2018年度重点施策のコアはIoT,BD,AIなど

 経済産業省は12月22日、2018年度予算及び2017年度補正予算のポイント」を公表した。2018年度の予算総額は前年度比▲1.24%の1兆2,805億円、内訳は一般会計が△1.02%の3,455億円、エネルギー対策特別会計が▲3.42%の7,798億円、特許特別会計が△5.57%の1,552億円となっている。この他に復興庁分として▲28.0%の468億円が計上された。(△はプラス、▲はマイナス)

 また2017年度補正予算の総額は2,660億円で、内訳は中小企業対策費は2,040億円、科学技術振興費が253億円、エネルギー対策費が328億円となっている。

 

最重点は「Connected Industries」

 「主要事業」として筆頭に挙げているのは「Connected Industries による社会課題の解決・競争力強化~第4次産業革命を契機とした生産性革命~」。投入する予算は29年度比1.5倍の614億円(2017年度補正予算を加えると△18.76%)と、力が入っている。

 Connected Industriesは世耕弘成経産相が今年3月、ドイツ・ハノーバーで打ち出したドイツ「Industry4.0」の日本版。「つながる産業」と和訳され、経産省は「データを介して、企業、消費者などが連携して新たな付加価値を生み出す産業のあり方」と説明している。コアエンジンとなるのはIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータ(BD)、AI(Artificia Iintelligence:人工知能)などだ。

   内訳は(1)協調領域におけるデータ連係が△21.18%の67億円【補正81億円】、(2)データの標準化獲得が△35.14%の50億円、(3)次世代技術の研究開発が△43.26%の457億円【補正17億円】、(4)デジタル・ガバメントの推進が△8倍の40億円【補正3億円】となっている。これに関連してサイバーセキュリティの強化円に△27.27%の42億、ベンチャーの育成に△1.5倍の24億円、人材の育成に補正25億円などが盛り込まれた。

 具体的な施策と予算額は次の通り(カッコ内は2017年度実績)。

(1)協調領域におけるデータ連係

○高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業費【エネ特】35.0 億円(26.0 億円):運輸部門の省エネルギーの推進やドライバー不足等の社会課題の解決を図るため、複数台のトラックによる隊列走行等の高度な自動走行システムの世界に先駆けた社会実装に向けて、安全性評価技術の研究開発を進めるとともに、公道を含む実証事業等を通じて事業環境等を整備する。

○IoTを活用した社会インフラ等の高度化推進事業【エネ特】15.0 億円(15.0 億円)

○IoT推進のための新産業モデル創出基盤整備事業【一般】10.4 億円(8.4 億円)

○IoTを活用した新市場創出促進事業【補正】3.0 億円:IoT・ビッグデータ人工知能の活用による新たな社会の実現に向けた実証を行う。具体的には、あらゆる電化製品がつながり、エネルギー使用を最適化するスマートホーム、水道インフラの維持・管理において IoT を活用した効率的なメンテナンスシステム、熟練作業員が持つノウハウをビッグデータ化し、製油所の安定的かつ効率的な運用システムなどの実現に向けた実証を行う。

○AI システム共同開発支援事業【補正】 24.0 億円:リアルデータを持つ大手・中堅企業と AI ベンチャーとの連携において、グローバル展開を見据えた AIシステムの共同開発を支援する。

○産業データ共有促進事業【補正】18.0 億円:Connected Industries 重点分野における協調領域の産業データのさらなる活用(共有・共用)を行う取組に対して、その基盤となるデータ標準・互換性、API 連携等を検証するフィージビリティ・スタディを実施する。

○グローバル・ベンチャー・エコシステム加速化事業 【補正】36.3 億円:Startup Japan(仮称)を今年度中に開始し、①グローバルに勝てるベンチャー企業を選定して集中支援を行うとともに、②量産化に向けた設計・試作の試行錯誤ができる場の提供や、③海外展開支援を行う。また、④海外ベンチャーの国内への呼び込みを強化する。 ○健康・医療情報を活用した行動変容促進事業【一般】7.0 億円(6.0 億円):糖尿病等の生活習慣病領域では、各個人の生活習慣や行動を効果的に変容させられるかが大きな課題。このため、IoT機器(ウェアラブル端末等)やその取得データを活用し、糖尿病等の予防・改善を図る実証研究を実施。行動変容を促すアプローチの方法や、その高度化に向けた基礎的なデータ解析手法等の開発につなげる。

(2)データの標準化獲得

省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費【エネ特】 27.0 億円(22.0 億円)

○戦略的国際標準化加速事業【一般】 23.4 億円(15.0 億円):モノやサービスをつなぐための異業種間連携等が必要な分野や、先端技術に関するルールの整備に必 要となる分野等について、関連技術情報や実証データの収集、国際標準原案の開発・提案等を行う。 また、新規分野の国際標準化戦略に係る調査研究、標準化の戦略的活用に係る啓発・情報提供、次世 代標準化人材の育成等を行う。

(3)次世代技術の研究開発

○高効率・高速処理を可能とする AI チップ・次世代コンピューティングの技術開発事業【エネ特】 100.0 億円(新規)

○AI チップ開発加速のためのイノベーション推進事業 【一般】 8.0 億円(新規)

○AI チップ開発加速のための検証環境整備事業【補正】 17.0 億円:IoT 社会の到来により増加した膨大な量の情報を効率的に活用するため、AI 技術など、これまでクラ ウドで実行されていた機能を社会全体に実装すべく、効率的かつ省エネルギーな AI チップ等の開発を 推進。同時に、膨大かつ多様な情報を高効率かつ高速に処理するための新原理のコンピューティング 技術等を開発する。これにより“Connected Industries”を実現し、日本の情報産業が世界をリード することを目指す。

○次世代人工知能・ロボット中核技術開発【一般】 56.9 億円(45.0 億円)

○次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発事業【エネ特】 5.0 億円(新規):場面や人の行動を理解・予測し適切に行動する賢い知能、これを支える、センサ技術や多様な作業を 実現する精密な制御技術など、人工知能・ロボット技術における中核的な技術等について、「生産性」 「健康、医療・介護」「空間の移動」分野における人工知能の社会実装を目指した産学官の連携によ る研究開発を行い、人工知能技術とロボット要素技術の融合を目指す。

○政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業費【一般】 12.0 億円(新規):政府衛星データのオープン&フリー化を行うとともに、AI や画像解析用のソフトウェア等を活用した データプラットフォームの開発を行うことで、民間企業や地域の大学等が衛星データを利用しやすい 環境を整備し、新規アプリケーション開発による新規ビジネス創出の促進を目指す。

○衛星データ統合活用実証事業費【一般】 1.5 億円(新規)

○宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(SERVIS プロジェクト)【一般】 3.5 億円(3.5 億円):準天頂衛星を活用した渋滞緩和システムなど、衛星データと地上データを統合し課題解決を行うシス テムの開発及び実証を行う。また、衛星データ利用拡大に向け、小型ロケット等の開発を行う。

○ロボット介護機器開発・標準化事業【一般】 11.0 億円(新規):ロボット技術の介護利用における重点分野について、介護現場のニーズに基づいた自立支援型のロボ ット介護機器開発を支援するとともに、ロボット介護機器に係る効果の評価を実施する。また、自立 支援型ロボット介護機器に係る安全基準の策定や海外規格との連携を推進する。

(4)デジタル・ガバメントの推進

経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業【一般・エネ特】 39.7 億円(5.0 億円) 【補正】 3.0 億円 :中小企業やベンチャー企業等が主に活用する経済産業省の主要行政手続の簡素化・デジタル化に取り 組むことなどにより、デジタルガバメントへの変革を進め、事業者の意思決定の迅速化、生産性向上、 新たな価値創造を図り、産業競争力の強化の実現を目指す。

(5)サイバーセキュリティ強化

○サイバーセキュリティ経済基盤構築事業【一般】 22.8 億円(21.6 億円):個々の組織の力では対処が困難な、高度標的型サイバー攻撃を受けた組織等に対して、被害状況把握 及び被害拡大防止の初動対応支援を行う「IPA サイバーレスキュー隊」の体制を強化。複数国間にまた がったサイバー攻撃基盤を駆除するため、各国のサイバー攻撃対応連絡調整窓口間で情報を共有し、 共同で対処。

○産業系サイバーセキュリティ推進事業【一般】 19.1 億円(11.7 億円):IPA に平成 29 年 4 月に設置した産業サイバーセキュリティセンターにおいて、模擬プラント等も用い た約 1 年間の研修を行い、サイバーセキュリティ対策の中核となるハイレベルな実践的人材を育成。 また、制御システム等の安全性検証等により、産業分野のサイバーセキュリティ対策のノウハウを創出。

6)ベンチャー育成に向けた取組

○研究開発型スタートアップ支援事業【一般】 17.0 億円(15.0 億円):研究開発型のスタートアップ創出・発展のため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発 機構が認定したベンチャーキャピタル等から出資・ハンズオン支援を受けるスタートアップが取り組 む実用化開発を支援するとともに、スタートアップが事業会社と連携して行う共同研究等を支援する。

○中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業【一般】 3.0 億円(新規):中堅・中小企業等は、大企業が参入しないようなニッチマーケットなどにおいてもリスクを取りつつ、 機動的に事業化を図るなど、イノベーションの創出への貢献が期待されている。他方、中堅・中小企 業等は特定の優れた技術を有していても、事業化を目指すためにはそれのみでは不十分なことがある ため、優れた基盤技術等を有する研究機関がその技術を中堅・中小企業等に橋渡しすることにより、 技術の実用化を促進する。

○グローバル・ベンチャー・エコシステム加速化事業【再掲】

(7)多様な人材の育成

○学びと社会の連携促進事業【補正】 25.0 億円 :就学前からリカレント教育の各分野における EdTech(IT 技術等を活用した新たな教育サービス)等の 先進的実証プロジェクトの実施とガイドライン策定、「就職氷河期」世代以降のポテンシャル人材を地 方や海外の中小企業やベンチャー企業等で活躍する中核人材へと育成するための実践的能力開発に係る研修等を実施する。