IT記者会Report

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経産省が行政手続き改革に着手 2020年春までに「法人共通認証基盤」を構築へ

ユーザーの使い勝手や利便性を重視

経済産業省が電子行政システムの改革に乗り出す。2 020年春の本稼働を目標に「法人共通認証基盤(法人デジタルプラットフォーム)」を構築する。すでに発行されている法人番号(法人マイナンバー)をベースに、営業許可や税、社会保険など法人にかかわる各種手続きのワンストップ/ワンスオンリー化を図る。

ワンストップは1つのWebサイト(ポータル)で諸手続きが完了するサービス、ワンスオンリーは法人名や所在地など一度入力した情報を繰り返し入力せずに済むサービスを指す。国の行政手続きの電子化、オンライン化で、利用者の使い勝手や利便性に言及したのはほとんど初めてのケースとなる。

併せて中小企業庁が運用している「ミラサポ」を改良・拡張して、中小企業向けの補助金や税制など支援策をプッシュ型で通知する「中小企業支援プラットフォーム」を構築する。2018年度中に補助金の申請から審査まで一貫するシステムを開発、19年度に省内で試行しつつ新規の行政手続きシステムを接続したうえ、20年度に本格運用に入る。

近い将来は民間データとも連携

法人共通認証基盤は政府が今年中の成立を目指して準備を進めている「デジタルファースト一括法案」(仮称)を先取りするもの。経産省単独で実施できる行政手続き改革を先行的に推進する。当面は「1つのIDで行政手続きがワンストップ/ワンスオンリーで可能」なシステムを目指すが、近い将来には各種の民間データや財務情報データベースとも連携させる。

また、並行して政府が推進する法人設立登記手続きの24時間化、営業許可申請や税・社会保険等の手続き、入札などのワンストップ化を視野に入れる(図)。具体的にはプラント施設の保安審査やIoT税制など経産省が所管する行政手続きで、先行的にオンライン・ワンストップを実現していくという。

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法人共通認識基盤の将来イメージ

DXオフィスでアジャイル開発

このため商務情報政策局に「デジタル・トランスフォーメーション(DX)オフィス」を設置、CIO補佐官3名、民間から新規採用するプロダクトマネージャーなどによるアジャイル開発体制を整えるとしている。商務情報政策局が独自のシステム開発に取り組むのは、2010年2月から1か月実施されたオープンソース・ソフトウェアの実証実験的プロジェクト「アイディアボックス」が知られている。

DXオフィスでは、手始めとして取り組む補助金申請システム、中小企業向け行政サービスシステムなどを通じて、ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発の最適適用および、アジャイル開発プロジェクトにおける省内共通APIApplication Program Interface)仕様や開発標準、ベンダー・マネージメント手法を確立していきたい考えだ。

商務情報政策局はこれまで、民間のIT利活用について脱レガシー、セキュリティ対策、情報管理体制、IT人材育成などと並んで、ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発の最適適用を提唱してきた。今回、自らウォーターフォール型とアジャイル型の組み合わせを実践することで、民間にも波及効果があると見ている。

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DXオフィスの構成