IT記者会Report

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経産省が流通・小売業のDX加速で検討会 併せてプレゼン・コンテストも

 7月4日、経済産業省で「物価高における流通業のあり方検討会」の初会合が開かれた。検討会のタイトルには「流通業のあり方」とあるが、研究会の顔ぶれは学識経験者のほか日本フランチャイズ協会、日本チェーンストア協会日本スーパーマーケット協会オール日本スーパーマーケット協会など食品・生活雑貨量販店の業界団体がずらりと並んだ。ITの利活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)で今般の物価高を乗り越えよう、というのが経産省のねらいのようだ。 

 

 まずは「物価高における流通業のあり方検討会」について、公表されている資料をもとに記事をまとめておく。その概要と出席委員のプレゼン資料は、経産省のホームページに載っているので参照されたい(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/distribution_industry/001.html)。

 検討会の事務局を担当する消費・流通政策課の中野剛志課長は、2018年当時、商務情報政策局の情報技術利用促進課長として「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜」に深く関与した人物。それもあって昨年度は物流業におけるITの利活用とDX推進をテーマに「フィジカル・インターネット実現会議」を企画・運営した。今回の検討会はそれを受けたものとなる。

 説明によると、「小売業が生活必需品を安定的に供給し事業を継続していくためには、まず、デジタル技術の活用などを通じた効率化・合理化を徹底して行い、企業ごとの強みを活かした戦略的な経営に繋げることが重要」(原文ママ)という。

 またその背景として、

 ●少子高齢化の進展に伴う労働人口の縮小

 ●原材料・エネルギーコストの高騰

 ●脆弱な小売事業者の収益構造

 ●ロシア・ウクライナ戦争の余波

 などを挙げている。ただし円高で逼迫したエネルギー需給や輸送コスト、新型コロナ感染症対策に伴うインバウンド需要や外国人就労者の落ち込みなど、上位の課題は承前として位置づける。また検討会で議論する範囲は「メーカー(製造を除く)、卸売、小売(ラストワンマイルを含む)の流通・サプライチェーン」と規定している=図1=。

経産省作成資料「検討会の射程」

 併せて消費・流通政策課は、「流通サプライチェーンが抱える課題の解決につながる流通テック企業による提案を表彰する「SUPER-DXSustainable Utilit

y Price Evolution Retail DX)コンテスト」の実施を発表した。検討会は審査の場として機能することになる。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/super-dx_boshuyoryo.pdf

 課題解決のテーマとして挙げられているのは、(1)物流・在庫管理、(2)配送ルートの最適化、(3)車両管理の効率化、(4)スタッフの人員配置効率化、(5)需要予測・店頭在庫の最適化、(6)マーケティングオートメーション、(7)位置情報・ジオターゲティング、(8)決済サービス、(9)カートレジ、(10)接客・店舗対応のデジタル化、(11)食品ロスの削減、(12省エネルギー、(13CO2削減——などとなっている。

 優秀賞受賞者には、全国スーパーマーケット協会が来年2月15日から17日の3日間、千葉・幕張メッセで開催する「第 57 回スーパーマーケ ット・トレードショー2023」でのプレゼンテーションを行う権利を与える。「DXを検討している事業者やサービスベンダーにとって気づきの場となるとともに、受賞者提案のシステム、サービスの利用拡大につながることを期待している」(消費・流通政策課の中野剛志課長)という。

 スケジュールは図2のようになっている。