6月6日付で「IT Leaders」に掲載した記事を再掲します。
https://it.impressbm.co.jp/articles/-/18036
「旧来システムを清算しない」ユーザー企業と「開発業から保守業に変ずる」ソフトウェア会社──“日本沈没”の危機を直視する
「既存維持8割:新規開発2割」の傾向に変化なし
日本国内で投入されるIT予算の総額は、8兆円前後と見られている。内訳は民間大手が4兆円、中堅・中小が2兆円、国・自治体が2兆円だ。といって、正確な統計はなく、情報処理実態調査や特定サービス産業実態調査(いずれも経済産業省)などの値を基にした推定にすぎない。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の企業IT動向調査も、そうした統計資料の1つである。会員は東証1部上場の大手企業とIT子会社など約4000社、直近の2018年度版の回答企業は1103社だ。全国の法人組織170万社、法律が定める「大企業」1万1千社と比べれば微々たるものだが、国内企業のIT予算の傾向を測る基礎資料としては十分だ。
それによると、2018年度、既存システムの維持管理に投入されたIT予算の配分比率は77.5%だった。2013年度の79.1%から5年間で1.6ポイント低下したが、長く続く「現状維持8割:新規開発2割」の傾向に大きな変化はない(図1)。
回答企業に、3年後の目標を尋ねると66.3%に低下するが、「維持管理費が9割以上」の企業が35.9%から39.9%に増加している。目標は「新規開発費の拡充」だが、実態は「既存システムの延命に注力」、つまり現行システムの維持管理で精一杯というわけだ。
【続きは⬇︎】