ICT関連305社の2015年度中間期1人当り業績
就業者1人当り業績を算出すると、305社の平均は売上高が1,618.3万円(月269.7万円)、営業利益が121.3万円、経常利益は130.5万円、純利益は73.8万円だった。就業者1人当り売上高の前年度同期比は、電子機器・情報処理装置関連が1,444万円で1.51%増(業態単位では2.72%)、データ通信サービスは5,031万円で4.47%増(同4.54%増)、ソフト/サービスは1,108万円で10.03%増(同8.62%増)だった。また1人当り売上高が最も低かったのはシステム運用管理業の597.2万円だった。
平均売上高は1618万円
前号で取り上げた単純集計は、業態別/ビジネスモデル別の産業規模を見るのにはいいが、時系列の変化を読み取るのには適していない。上場廃止や新規上場で集計対象企業が異なると補正に補正を重ねなければならず、就業者数の増減に左右されることになる。
そこで本調査では就業者数(連結正規雇用者+非正規雇用者)をベースに1人当り業績を算出、経年変化や業態比較にはその数値を使用することにしている。
305社の就業者1人当りの平均売上高は1
618.3万円(月269.7万円)で、前年度同期比は3.18%増だった。営業利益は10.54%増の121.3万円、経常利益は5.33%増の130.5万円、純利益は4.30%増の73.8万円となっている。1人当り売上高の最高は「データ通信サービス」の5030.9万円、最低は「システム運用管理」の597.2万円で、売上高の格差は8.42倍(2014年度中間期は8.45倍)、営業利益の最高は「オンラインゲーム」の1242.7万円、最低は「業務代行サービス」の27.6万円で、収益の格差は45.02倍(同21.75)だった。ビジネスモデルによって収益性・生産性に極端な相違がある。
また「ハードウェア関連」、「ネットワーク(データ通信+クラウド型サービス)」、「ソフト/サービス」の大区分で整理した1人当り業績は次のようになった。
ハードウェア関連
売上高 1.51%増の1443.6万円
営業利益 4.89%減の52.7万円
経常利益 13.15%増の57.9万円
純利益 1.38%増の26.9万円
ネットワーク
売上高 4.84%増の4578.1万円
営業利益 18.63%増の877.3万円
経常利益 0.43%減の934.2万円
純利益 3.14%増の572.9万円
ソフト/サービス
売上高 8.11%増の1001.1万円
営業利益 23.03%増の63.1万円
経常利益 15.13%増の67.6万円
純利益 18.37%増の42.5万円
ビジネスモデル単位で1人当り売上高が高い順に整理すると次のようになった。
《売上高順位》
データ通信サービス 5030.9万円
※ネット通販 4281.3万円
オンラインゲーム 4108.8万円
インターネット接続 3380.1万円
電子機器卸・販売 2669.2万円
※ネット情報提供 2084.2万円
※ASP・BPO 2034.6万円
※ネット広告 1963.4万円
システム販売 1923.0万円
情報家電製造 1757.0万円
エンタテインメント装置 1690.6万円
ゲームソフトウェア 1493.2万円
サーバー、インフラ構築 1257.7万円
複合サービス 1100.3万円
電子機器、周辺装置 1060.3万円
登録型人材派遣 991.6万円
ソフトライセンス販売 903.1万円
※ASPポータル 840.0万円
ソフトウェア開発 751.1万円
業務代行サービス 600.6万円
システム運用管理 597.2万円
※印はクラウド型サービスの内訳。
データ通信サービスが群を抜いて高いのはこれまで通りだが、「クラウド型」(旧来の「ネットサービス」)を細分化したネット通販、オンラインゲーム、インターネット接続、ネット情報提供、ASP・BPO、ネット広告などが上位を占めた。
1人当り売上高の前年度同期比はどうだろうか。ビジネスモデルが古くからのタイプは減衰・回復状況を、新しいタイプは市場拡大の勢いを示すことになる。
《売上高の前年度同期比》
オンラインゲーム 52.93%
登録型人材派遣 24.90%
※ASP・ポータル 17.05%
※ネット・情報提供 14.47%
ソフトライセンス販売 11.92%
ゲームソフトウェア 9.38%
エンタテインメント装置 8.98%
※ネット通販 8.30%
ソフトウェア開発 8.16%
※ネット・広告 7.35%
複合サービス 6.77%
電子機器卸・販売 6.60%
システム販売 6.28%
システム運用管理 4.81%
データ通信サービス 4.47%
電子機器、周辺装置 4.35%
サーバー、インフラ構築 2.77%
インターネット接続 2.25%
業務代行サービス 0.75%
情報家電製造 0.17%
※ASP・BPO -4.51%
本業利益の順位を見る
また本業の利益を示す営業利益の順位は次のようになっている。
《営業利益順位》
オンラインゲーム 1242.7万円
データ通信サービス 915.6万円
※ASP・BPO 915.4万円
※ネット通販 303.8万円
エンタテインメント装置 230.0万円
※ネット・情報提供 196.8万円
ゲームソフトウェア 130.4万円
※ネット・広告 129.6万円
※ASP・ポータル 129.0万円
電子機器、周辺装置 105.4万円
ソフトライセンス販売 82.2万円
複合サービス 71.4万円
電子機器卸・販売 62.2万円
登録型人材派遣 52.4万円
情報家電製造 50.6万円
システム運用管理 43.9万円
システム販売 41.9万円
サーバー、インフラ構築 39.6万円
ソフトウェア開発 36.8万円
業務代行サービス 27.6万円
インターネット接続 18.1万円
絶対額の順位は以上のようだが、儲かるビジネスモデルかそうでないかは、対売上高営業利益率で示される。
《営業利益率順位》
※ASP・BPO 44.99%
オンラインゲーム 30.25%
データ通信サービス 18.20%
※ASP・ポータル 15.35%
エンタテインメント装置 13.61%
※ネット情報提供 9.44%
ソフトライセンス販売 9.10%
ゲームソフトウェア 8.74%
システム運用管理 7.36%
※ネット通販 7.10%
※ネット・広告 6.60%
複合サービス 6.49%
電子機器、周辺装置 5.87%
登録型人材派遣 5.29%
ソフトウェア開発 4.89%
業務代行サービス 4.60%
電子機器卸・販売 3.95%
サーバー、インフラ構築 3.15%
情報家電製造 2.88%
システム販売 2.18%
インターネット接続 0.54%
データ通信サービスとクラウド型サービスが上位を占めるのは推測の範囲だが、意外なのは「エンタテインメント装置」が営業利益、営業利益率の5位に入っていること。パチンコ台やコインゲーム機などホール型エンタテインメント装置の収益性が予想外に大きい。