IT記者会Report

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「実践的プロジェクトマネジメント推進協会(PPMA)」セミナーに行ってきた

次世代定量的マネジメントプラットフォーム「EPM Base」発売へ

 一般社団法人 実践的プロジェクトマネジメント推進協会(PPMA)が主催し、株式会社オリジネィションが共催、情報処理推進機構IPA)が後援し、東京青山のTEPIAで開催された標記のセミナーに行ってきた。

 IPAから「定量的プロジェクト管理ツール」としてオープンソース形態で提供されてきたEPM-X(Empirical Project Monitor-X)が、品質向上とともに大幅に機能拡充され、商用製品版の『定量的マネジメントプラットフォーム「EPM Base」』として発売された。
EPMを事業化し「EPM Base」として発売したのは、情報処理推進機構IPA)からEPM-Xの運用を移管されてきた一般社団法人 実践的プロジェクトマネジメント推進協会(PPMA)の事務局を担う株式会社オリジネィションである。実質的にはIPAで研究員として実際にEPM-Xの開発を担当したメンバーによる事業化だ。  
 セミナーではまず、PPMA代表理事で株式会社オリジネィション代表取締役の今井元一氏から「EPM Base」の概要と利用形態について、その設計思想とともに発表があった。
  次いで、株式会社オリジネィションR&Dセンター、ディレクターの大和田裕氏から、EPM Baseの機能説明と製品デモがあり、そのあと熱心な質疑があった。
 以下、今井元一氏と大和田裕氏の講演から印象的だったことをレポートする。
 IPAからオープンソースで提供されたEPM-Xのダウンロードは15,000件を超え、これを運用するPPMAではこの領域の沢山のニーズを収拾することができた。これらを基盤に、IoT時代にふさわしい機能拡充を図り、商用製品版にしたのが「EPM Base」、とのことである。
 主眼はIT(開発)領域におけるデータ活用によるイノベーションである。生産現場での生産管理データの収集と、それにもとづく生産や品質の定量的管理という当たり前の行為をソフトウェア開発の領域でも容易に実現し、いうなれば、プロジェクト管理、ソフトウェア品質管理のパラダイムシフトをもたらそうとするものである。 
 目についた機能拡充項目は、 
   開発文書管理機能の装備による、全ライフサイクルサポート
   レビューの予実管理と指摘事項管理機能
   分散した開発拠点間の定量データの統合
   英語対応
 そのほかインポート、エクスポート機能の拡充など細かいところに配慮されている。
 また母体のEPM-Xの中でも必要な改修をし、商用製品版としてふさわしい機能、性能にしたとのことである。
 EPMは遡ること2003年、文部科学省によるEASEプロジェクトにルーツがあり、これを引き継いだIPAによる10年以上にわたる様々な版の提供と普及活動があった。これらで得られた知見の上に、このほど、「EPM Base」が商用製品版として発売され、事業化されたことは、PPMAの今井元一代表理事が言うとおり、プロジェクト管理、ソフトウェア品質管理にパラダイムシフトをもたらすものと大いに期待できる。
 また、株式会社オリジネィションによる「EPM Base」の発売は、文部科学省IPAで進められてきたいわば国営の研究開発の成果の民間での事業化、という新しいフェーズを拓いたこととして高く評価できる。 
注:EPM (Empirical Project Monitor)は、RedmineSubversionといったソフトウェア開発管理に広く使われているソフトウェアツールの中から、ソフトウェア開発管理に有用なデータを自動収集して、グラフや表の形でビジュアルに表示する。EPMを用いることで進行中のソフトウェア開発プロジェクトを容易に可視化することが出来る。近年普及しているチケット駆動開発と組み合わせると大きな威力を発揮する。

注:PPMA http://ppma.jp/htdocs/
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