受託型ソフト開発会社は農業を目指せ
神奈川県小田原市に本社を置くITサービス会社、オーディーシー(境ヒサ子社長)が高輝度のLEDライトを開発し、野菜市場に参入した。製品名は「alo(アロ)」で、同社が特許を保有、ウシオなど電機メーカー3社が製品化している。一般的な蛍光灯と比較すると、消費電力は4割減、照度は約2倍、光強度は2〜2.5倍、製品寿命は約3倍という。
当初は省エネ型照明器具の用途を想定したが、太陽光がない室内で葉物野菜が育つことに着目した農業専門学校やコンピュータメーカーなどが、野菜工場用に導入している。室内照明として使えば、消費電力は通常の蛍光灯の半分。それだけでもスゴイのだが、太陽光がない室内で葉物野菜が元気に育つ。
同社が期待しているのは「食用の花」。すでに結婚式場から注文が舞い込んでいるそうです。
白色光だが、植物が育つのに必要な赤色、青色の波長を十分に含んでいるので、可能になった。それが他社の製品にはない最大の特徴という。
この種の仕掛けは、水の循環システムや温度管理システムなどがどうしても大掛かりになる。しかし同社は並行してコンパクト(ラック1つでも可能)に設定する仕組みを開発した。発熱が少ないため管理が用意で、栄養分や水温、気温、水の量(いつもいっぱいだと根腐れの原因になる)をコンピュータで自動コントロールできるのも特徴となっている。
「野菜は畑(土)と太陽の光で作るもの、という意見を否定しません。ですが安定した供給と品質、安心・安全(無農薬、無放射能、無害虫etc)は重要な課題でしょう」と境社長は言う。また同社環境事業部の北村卓巳部長は「このシステムだと、「農地」「農家」の認定が要りません」と補足する。
食べる花(エディブルフラワー)は日本ではこれから。ただ農薬や害虫の問題があり、露地栽培は向いていない。ニッチだが、結婚式場や高級レストランの料理など市場は確実に広がるとみられている。またこれまで土壌に播種して育ててきた野菜の苗の生産を工業化する道が開かれたことになる。