IT記者会Report

オリジナルな記事や送られてきたニュースリリース、セミナーのプレゼン資料など

NSW 受託開発を基盤に新事業

NSW 受託開発を基盤に新事業

 日本システムウエア(NSW、多田尚二社長、東京・渋谷、東証1部)が、創業50周年(2015年)に向けたソフトウェア受託開発事業の新基軸を打ち出した。10月31日、東京・内幸町のホテルで開かれた2013年度中間業績発表と併せ、多田尚二社長と落合学・事業戦略室長が明らかにした。
具体的には社会・産業のクラウド化とユビキタスシステムによる「1対nビジネス」領域の拡大に着目、エンタプライズ・アプリケーションにおける「アセットSI」事業、新産業創出機運に対応した「EMS(Energy Management System)」事業、復活デバイス「Lite ASIC」事業、自動プログラミングツールを活用した「M2M(Machine to Machine)事業の4つを中核に据える。
「アセットSI」事業は、コモディティ化したITや業務パッケージ、自社データセンター(DC)を利活用したクラウドサービスなどを統合することで、ユーザー企業の戦略的なコア・アプリケーションを受注、システム構築から運用・保守、さらに業務代行までを一貫してサポートする。受託開発に軸足を置きながら、自社DCの有用性を最大限にアピールしていく。
「EMS」は独自に開発したクラウド対応型スマートハウス・システム「ENESMA(エネスマ)」と、スマートグリッド対応アダプタ「ECHONET Lite」を活用し、集合住宅や教育施設、イベント会場などの最適な省エネとエネルギー消費量管理を可能にする。後述する「Lite ASIC」や「M2M」を組み合わせたシナジー効果も期待されるという。
「Lite ASIC」は半導体メーカーが撤退もしくは生産終了となった古いタイプのASIC(Application Specific Integrated Circuit)を、小ロット・短納期で受注生産する。NSWが窓口となり、台湾の半導体メーカー・台湾半導体製造(臺灣積體電路製造股份有限公司TSMChttp://www.tsmc.com/japanese/default.htm)社とカスタムLSI専門メーカー・PGC社(http://www.pgc.com.tw/)に生産を委託する。すでに受注が始まっており、「来年1月には第一号ユーザーに納入する予定」(落合学氏)という。
「M2M」アプリケーション開発事業では、米ThingWorx社のクラウド対応自動プログラミングツール「Toami(トアミ)」を活用する。通信モジュールやセンサー、アダプタの特性に依存しないM2Mアプリケーション開発を、従来と比べ10倍に高速化できるとしている。センサーばかりでなく、自動車や家電機器、スマートフォンなどがM2Mのデバイスとしてインターネットに接続される新しいアプリケーションのニーズを先取りする。
同社の売上高は2008年3月期の346億円をピークに、リーマンショック以後は240億〜260億円台にとどまっている。それに伴って受託開発事業を基盤に、サービスモデルの新事業やDC事業など多角化を図ってきた。今回、明らかにされた4事業は、受託開発に軸足を置きつつ、クラウドビッグデータに対応した戦略と理解できる。またこの4事業がどのタイミングで本格化するかが、同社の収益モデルの改造に直結することになりそうだ。
ちなみに2013年度中間期業績は、売上高が前年同期比1.6%増の126億74百万円、営業利益が7.7%減の4億30百万円、経常利益が9.0%減の4億34百万円、当期純利益が2.1%増の2億55百万円だった。対売上高営業利益率は4.4%、純利益率は2.4%で、業界平均を下回っているが、受注残高は3.3%増の92億25百万円と前期売上高の伸びを上回った。このことから、期初の通期見通し(売上高270億円、純利益6億60百万円)は修正していない。