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展示会シーズン幕開け、駆け足見学記

産業の底力が見える「国際航空宇宙産業展」

 2日から有明で開催されたのが、「東京国際航空宇宙産業展」。これはIT領域でしか活動していない筆者にとっては「知らない世界」だ。航空宇宙産業といっても印象としては非常に多岐にわたる。産業分野の項目だけ見ても、運輸、機体、技術・設計・部品、工作機械・工具、測定機器、システム・周辺機器、素材、の部門が有り、このほかに宇宙開発、各種組織体など大きな拡がりを持っている。作るばかりでなく、作ることにともなう様々なサービスの展示も目についた。あの日通が大規模ブースを構えていた。展示会場を一見して、これらの広範な分野の高い技術が航空宇宙産業を支えているのだな、ということが感じ取れる。
 まずはこのそろい踏み、H-IIAH-IIB。左奥にもう一つの日本の誇りがある。


 アリアン5の補助ロケットにはesa(European Space Agency)のマークと12ヶ国の国旗が記されている。esaは専門の国際機関で、EUの一部ではない。アリアンスペースは打ち上げ会社で製造は行わない。これに対して日本は1国、JAXA三菱重工だけだ。ここに世界の縮図が現れている気がする。国際協力して束になって戦う欧州、対する、仲間のいない日本という図式になる。
この展示会にはこうした関連企業だけでなく、航空宇宙関連の様々な団体がブースを出してその活動を紹介していた。そうした中で、「日本ビジネス航空協会(JBAA)」の展示が目に留まった。この団体は我が国の小型のビジネスジェット機の普及を目指している。小型ビジネスジェット機は活用次第で、産業的にも、また国民生活にも大きな利点をもたらすものだが、日本ではこの領域の環境が整っておらず、その普及テンポも遅い。また国民的にも贅沢装備としてかならずしも肯定的に受け入れられていない面がある。
 欧州のオリンピックでは1週間に軽く100機は飛来するそうだ。原発事故の時も電力会社の幹部がビジネスジェットをすぐ使える環境にあれば局面は変わったかも知れない。海外でけがをしたり病気になったとき、不十分な現地の医療機関の世話になるより、ビジネスジェットでいち早く日本へ運んだ方が有利な場合もある。日本国内はもとよりアジア諸国、諸地方をビジネスで足早に移動しようとするとき、定期航空路とビジネスジェットでは圧倒的な差がつく。航空宇宙の世界には技術や経済的なものだけでない、様々な課題があるようだ。政府専用機の更改時期や東京オリンピックを、日本の環境整備のトリガにしてゆきたい、ということだった。

 これは航空自衛隊の展示品、ブルーインパルス。それは1964年10月10日、東京の空でのことだった。今ではこの展示で感慨をおぼえる人は少数派になってしまったかもしれない。ここ有明ビックサイトは次の東京オリンピックでは会場の一つだ。

「ITproEXPO」、これぞIT領域展示の決定版、だが、あまりにも難しい

 次は9日から有明で開催中のITproEXPO、まさにIT領域の旬な話題を満載した専門展示会である。がしかし、会場を訪れてみると、展示対象を理解するのが極めて困難、という壁に遭遇する。一般には展示ブース内に沢山の説明パネルが有り、場合によっては展示対象の動作を推し量れる端末が置かれていて、その前に説明員がいる。展示パネルの見出し、そして説明文を読んでも多くは理解できない。
 そもそも、展示対象がソフトウェア製品なのか、ハードウェア込みの装置なのか、サービスなのかすら判然としないことも多い。いやー大変な時代になってきた。
 もうちょっとシンプルにならないかなーとも思うが、現実の世の中は複雑、ITがそれだけこの複雑な世界に浸透してきたことの裏返しのようにも感じる。新しい技術やサービスが、理解しやすいシンプルなうちは、それは黎明期であって、それが本格普及になれば、世の中を反映して複雑怪奇(?)にならざるを得ないのかもしれない。
 この展示会にも企業だけでなく沢山の団体の展示ブースがあった。その中で、Made in Japan Softwareコンソーシアム(MIjS)の元気な展示が目に留まった。目下参加企業70社以上で、世界に向け先進の「日本サービス」を展開しようと奮闘している。それぞれの製品の連携強化も施策の一つにしているようである。束になって世界に打って出る作戦だ。
基調講演を聴けた。伊藤元重東大教授「成長戦略のカギ握る 国内産業のイノベーション」。とっても元気の出る話だった。日本は今、次の大投資期に入るか入らないか、瀬戸際の岐路にあるようだ。伊藤教授は日本からの肉食男子、そして肉食女子の沢山の輩出を希望する、ということだった。

 展示会シーズンの幕開けを伝える3つの展示会、駆け足で概観して、大変革期、ビジネス環境の厳しさは変わらないが、何か、あたらしい大転換、大きなチャンスの前触れのようなものを感じた。やってくるぞ、新しい時代が!