2か月ごとに開催している記者会の例会(WAIGAYA)。7月の例会は5月(スピーカーは有賀貞一氏、参加者14人)に引き続き、東京・赤坂のオフィスコロボックル(https://www.facebook.com/KOROBOCL)で、本日(7月19日)午後6時から開催しました。今回のスピーカーは元日本IBMの堀田一芙(ほった・かずふ)氏(オフィスコロボックル主宰)。参加者は堀田氏を含めて7人と、前回の半分でしたが、人数が少なかった分、話題に集中できたように思います。
話題は、堀田氏が取り組んでいる福島県奥会津地方の古民家再生プロジェクト。国や自治体の助成金をあてにせず、地元の事業者と連携して過疎集落の古民家を「泊まって自分がやりたいように仕事ができるオフィス=コロボックルオフィス」に再生する話です。すでに会津若松市と只見地方の三島町で「コロボックルオフィス」をオープンしているそうですが、会津若松市は「地元の文房具屋さんが保有するビルの二階を自由に使わせてもらい、かつ自分が関係している事務機メーカーから事務機器を無償貸与してもらって」、三島町の古民家は「地元の建設会社が築150年の農家を改造することで古民家再生ビジネスのノウハウを蓄積するため」に、堀田氏をはじめ首都圏陣営は地元の人たちと一線を画しつつ、多額の資金負担もない状況下でトントン拍子で実績をあげているとのこと。
「こんな風になるといいな、と思っていたことが、早速、実現した」というのは、今年6月、堀田さんのもとに相談にやってきたIT系の起業家が、三島町のコロボックルオフィスの話を聞いて、「そこに本社を移しましょう」と申し出たのだそうです。東京都内ではオフィス賃料が高いし、クリエイティブな仕事をするにはあまりいい条件ではない。奥会津なら豊かな自然に囲まれた住環境で、自由気儘に仕事ができる。奥会津の只見地方は水力発電用ダムのコントロールや監視のために、光通信ネットワークが都会並みかそれ以上に整備されている。「もちろん営業部隊は首都圏に置くけれど、開発部隊は奥会津で十分」というわけだ。「その会社は日本国内の市場を想定していない。世界に打って出るつもりなので、開発部門はどこにあったっていいんですね」と堀田氏。
(写真はオフィスコロボックルのfacebookから)
参加した日本不動産ジャーナリスト会議(千葉利宏氏を介してIT記者会と連携関係にある)の記者諸氏から、専門記者らしい質問や感想が出たり、農地問題や食糧生産の工業化とITの利活用などに話が及び、ITに軸足を置く記者会側の記者にとってはいい勉強になったと思います。