IT記者会Report

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ソフトウェア・シンポジウム2013レポート(1)


7月8日から10日までの3日間、ソフトウェア技術者協会(代表幹事:中野秀男・帝塚山学院大学ICTセンター長、略称:SEA)主催による「ソフトウェア・シンポジウム(SS)2013 in岐阜」が岐阜市長良川国際会議場で開かれた。IT記者会は2011年(長崎市)から3回連続で協賛するとともに、7月7日のプレイベントから4日間にわたる現地取材を行った。SS2013 in岐阜の模様をレポートする。

多彩なWGも増員の要因
 実行委員会(委員長:奈良隆正・NARAコンサルティング山本修一郎・名古屋大学教授)によると、事前登録があった参加者は140人(プレイベントを含めると約200人)で、2000年代に入って開かれた14回の中で最多となった。岐阜市名古屋市など広義の“地元”からの参加と、20代から30代前半の若手がそれぞれ3割超となったのが今回の特徴という。
 参加者が増加した要因として、奈良隆正委員長が第一に指摘するのは、「応募があった12のワーキンググループ(WG)のテーマをプログラム委員会で絞り込まず、“最低6人で成立”という要件を付けた」ことだ。多彩なテーマが設定されために選択肢が増え、参加意欲を刺激した。だけでなく、「それをクリアするために、WGのリーダーたちが自発的に参加者を募ったことも、参加者の増加に貢献した」という。結果として12テーマのうち11件が要件を満たして成立した。
2日目の7月9日に発表された論文は計23篇で、前回(福井市)と比べ5篇減、前々回(長崎市)より2篇増えた。テーマをジャンル別に見ると「テスト」が11篇(長崎3篇→福井5篇)、「形式手法」が10篇(長崎3篇→福井8篇)で、ソフトウェア技術者の関心がどのように変化しているかが端的に示された。ちなみにSEA「ソフトウェア・シンポジウムの歴史」によると、SSで研究テーマとして「形式手法」が初めて登場したのは2005年だった。
論文のタイプは「研究」が9、「経験」が11、事例報告が3だった。直近3回の構成をみると、「研究」論文は毎年10篇前後なのに対し、「経験」論文は2011年6篇→2012年15篇→2013年11篇と推移している。今回は「研究」と「経験」の論文数が拮抗したが、過去2回設定された非技術カテゴリー(2011年「ソフトウェアのこれから」、2012年「ソフトウェアの発展のために」)が姿を消したのは残念だった。