[日本に戻って]
トランジットに寄ったアムステルダムの空からの眺めにはじまって、季節外れの寒波と大洪水のさなかのプラハ、そこから溢れるヴルタヴァ河、エルベ河沿いに列車の旅でドレスデンへ、そしてフランクフルト、さらにカイザースラウテルンと歴史と現代の発展を垣間見るミニ一人旅となった。プラハもドレスデンもそこにあったのは旧東欧からの脱却、再興を目指した強い意志の実感だった。ドレスデンの建設には度肝を抜かれた。フランクフルトの金融タワー街、いまなお建設が続く。
ビル足下の街区の旧態とのものすごいコントラスト。カイザースラウテルン、研究所所長兼大学教授の還暦祝いのしっかりした連続講演会、素晴らしい環境の大学キャンパス。街道沿いの産学連携ハイテク地帯の構築。刺激いっぱい、列車に乗れば欧州は何処へでもいける実感。そこにはさまざまな歴史と現在進行中の事象が露呈していた。
「現代史の痕跡を訪ねて」の旅が、現在進行中の歴史体験そのものになった。日本の中だけで認識できることは限られ、メディアの伝えることだけでは全然足りない。たった1週間のささやかな旅でも、得られる体験は多い。その体験は自然に日本の歴史と現状との比較になる。日本の位置づけを推し量るまたとない素材になる。やっぱり旅はしてみるものだとの感を深めたプチ旅行だった。