IT記者会Report

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2015年6月18日 JISA正副会長会見を再現する(2)

 情報サービス産業協会(JISA)の副会長は5人いる。1人は専務理事が事務局の統括責任者として副会長を兼務、残り4人は旧メインフレーマー系、ユーザー系、大手独立系(非メーカー/ユーザー系)、地域・中小独立系から各1名という配分だ。さらに女性を入れないとまずい、事業が順調かどうか(不祥事と関わる可能性はないか)などが考慮される。建前は「人物本位」といいながら、バランスを重視した妥協の産物。その4人のうち、会見に出席したのは2人だった。どうなってるんだ?
会員企業に刺激与える

河野 ありがとうございました。それでは、今日ご出席の各副会長さんにですね、担当分野の活動も含めて……。え〜、まだ就任したばっかりでしてですね、活動実績はないんですけれども、抱負を含めてですね、語っていただければと思います。名簿順で島田副会長から。

島田 はい。じゃ、あの〜、副会長を再任をされました島田でございます。座ってお話をさせていただきたいと思います。
 私のところは、え〜、委員会の細かい説明は今日は省かせていただきますけれど、主として会員を刺激する「ビジネス変革」というタイトルになっていますが、構造改革の担当を1期目にやって、2期目は市場創造、新しい市場を創造するということ。3期目に入りましたので、会員を刺激して……、先ほど会長が……、横塚会長が仰られたように、残念ながらといいますか幸運にもといいますか、需要が戻ってきてしまっておりますので、ついぞ明日の……、なんとなく今を過ごしていれば明日が来るんじゃないの、ということに、まぁなりがち。
 当協会の会員企業にそのようなことはないと思いますが、ヌルっとするとそういうことになってしまう。ポスト2020は(2020年以後のIT需要は、の意)、わたしは半減すると思っているんですね。ですので、それまであと5年という猶予をいただいているわけで、それまでに会員企業が次に向けた何かをやろうとするような、つまり意欲を喚起するような、ですから経営担当というより「会員刺激担当」というような名前で活動していこう。ま、裏の名前にしてもらうのがいいかな、と。
 で、攻めのIT銘柄(正式名称は「攻めのIT経営銘柄」)、国をあげてIT投資の方向を変えようという流れになっておりますので、せっかく国がああいうことをやって、経営者がどこまでこれを感受するか、っていうのは、メディアの方もこれをうまく取り上げていただいて、攻めのITをやらないと……、あまり株価と連動しなかったんですが(「攻めのIT経営銘柄」発表時のこと)、経営者が攻めのITをやらないと社長としてマズイかな? っていう流れができると、IT投資の質はたぶん変わるな、と。
 今はもう皆さんもご案内の通り、事業会社のトップは「ITのことはキミに任せた」とどなたか担当役員に任せる傾向が少なからずある。ということですので、その辺も含めてわれわれも考え方を変える。攻めのIT銘柄という流れもあるということなので、今年はあの、少し、IoTというバズワードになってますが、私のところでは「次世代IoTワークショップ」というのを企画していて、例のIPA情報処理推進機構)の未踏OBを使ってですね、ハードとソフトウェアの融合みたいなワークショップを作って、若い人に刺激を与えるようなことも、サブセットでやりながら、会員全体が祭りのうつつを抜かすんじゃなくて、2020以後に向けた活動をやっていきたいと考えています。
 それが結果的に会員全体の発展と、もう一つは大学生の人気回復にもなればいいな、というふうな活動をしていきたいと。メディアの方のITの取り上げ方も、足らざるはご指摘いただきながら、攻めのITを踏まえて、投資の7割が保守・運用にならないよう、お願いしたいと思っています。(この間約5分)

河野 ありがとうございました。続きまして原副会長。
組織と個人をブランド化

原 はい。副会長2期目になります。原です。よろしくお願いします。
 私のほうは主に広報委員会の委員長ということで、会長のお話にもありましたように、この業界、JISAもまだまだ情報の発信が不十分だという話もあるんですが、基本的には発信力を高めてプレゼンスを上げるということだと思うんですけども、やっぱり大事なことは、こういう時期ですから、改めてJISAの理念とかコンセプト、これを執行部で再確認して、あるいは変えるものは変えてですね、そういう「思い」とかですね、そういうものをしっかり作って……。
 大事なのは理事ですね。理事会社とベクトルをしっかり合わせた形で外に向かって進んでいく、ということが、まずは非常に大事なことだと私自身思っています。ま、これから委員会を開きますんで、各委員と。具体的にはこれからなんですが、私個人としてはそういうことが大事だと非常に強く思っています。
 それから、去年のJISAコンベンション、実行委員長をやらせてもらいましたけども、やっぱり社員参画型をさらに加速したいな、と思います。これまでのJISAっていうのは、どうも経営者が集まって何かやってると。そういうんじゃなくてですね、大事なのは現場ですから、現場で頑張っている人たちをもっと表に出したいと思っています。個々の会員企業を見ると、たいへんいいことをやってますんで、この業界の面白さ、素晴らしさを、できるだけ分かりやすく伝えたい。
 皆さまがたの力をお借りして、理想的にはできればブランド化、JISAブランドですか。そういう組織のブランドも大事なんですが、人をブランド化できないかな、という思いもありまして。ちょっと広報から逸脱するかもしれませんけれど、スポーツなんかを見ますと、やっぱりスターが出ると底辺が広がります。テニスといえば錦織ですし、ゴルフもですね、やっぱり宮里藍ちゃんが出てこんだけ女子ゴルファーが出た。サッカーって言ったら今や男子じゃないですから。「なでしこ」っていうのはすでにブランドになってますから。そういう他の産業や他の業種で成功しているやり方を勉強して、真似るところは真似ていきたいな、という思いはあります。
 外に対する情報発信も大事なんですが、もう一つ、中に向かっての広報もやっていかなければならない。JISAが何をやっているのか、会員企業が知らないことがまだまだありますから、中に対する広報も大事かな、と考えていま。いずれにせよ委員会はこれからですから、こういうチャンスの時期なんで、思い切ってやってやろうと考えてます。(この間約4分)
山を本格的に動かすには

室井 新任の副会長、室井でございます。よろしくお願いいたします。
 もうですね、会長をはじめ皆さんがお話になった通りのマクロ感でして、実は総会(6月12日)の後の懇親会でも申し上げたんですけど、私が経営コンサルタント、システムコンサルタントとしての現場での実感を踏まえてですね、最近、日本の主に巨大企業中心に、「山が動き出した」と思っております。単に口先で……、産業構造審議会のサイバー・フィジカル・システム(Cyber-Physical System)ですとかデジタル・ビジネス・デザインですとか、いろんな言葉がありますが、インダストリー4.0も時のテーマで、先日も経済同友会の会合でで講演会がありまして、一般の経営者がいろいろ質問していたので、日本もここまで来たか、と。つまりですね、経営者がITが単なるコスト削減の道具だけでなくて、本質的に何かを変えるかもしれないと本当に思い始めていらっしゃる局面だな、と感じています。
 逆に言いますと、ある事例では、つい先日も専務理事から聞いたんですが、経営トップが「やろう」と言ってITディビジョンに指令を出したんだけれど、そちらの役員さんが「われわれにはとてもそんなこと出来ません」とお答えになった、と。経営トップとITディビジョン、情報サービス産業が考える「できること」「やりたいこと」が、必ずも現状では合っていないので、本格的に山を動かそうとしても、まだまだ山は動かない状態にあるかもしれないんですね。
 ですが明らかに経営のテーマ、ニーズは動き出しておりますんで、業界をあげてですね、それに対応できる形を作っていく必要があるのかなぁ、と思っています。
 協会の中では政策委員長を拝命しておりまして、まずですね、お客さま、社団法人にとっての最大のステークホルダーは会員企業さまですので、約600社おられる大・中・小さまざまな企業の方がたが何をお考えになっていて、そのお考えとJISAの活動が合っているのか合っていないのかということも含めて、ゼロベースで勉強させていただくというのが1点目。
 同時にですね、せっかく素晴らしい舞台が、システムエンジニアあるいは企画マンにとって素晴らしい舞台が出てきているものですから、ブロードウェイでいざ踊ってみろといわれたとき、時代劇しかやったことがないというのではあまりパッとしませんので、歌って踊ってお客さまに感動を与えることができるシステム集団になっていかなければいけない、と思っております。
 それが容易なことではないのは十分承知しているのですが、とにかく新任ですので、先輩がた皆さんのお話をよく聞いて、並行して会員の皆さんの声を集約してですね、結果として会員企業さまの活動が活性化するよう努めていきたいと思います。以上でございます。よろしくお願いいたします。(この間約3分)