IT記者会Report

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ソフトウェア・シンポジウム2012現地レポート(2)

 委員会は月1回のペースで、ほぼ毎回、東京・大崎で開かれた。大崎というのは、栗田太郎氏――SS2012プログラム委員の一人であり実質的に連絡事務を一手に担った――が勤務するフェリカネットワークス(株)の会議室である。そこはSEAの会議ばかりでなく、SEAフォーラムの会場としても使われることがあった。つまり栗田氏がSEAのために業務外使用の許可を取って確保してくれていたわけだった(社会貢献活動に対するフェリカネットワークスの姿勢も背景にある)。


4月6日、福井市AOSSA会議室で行われたコア・メンバーによるプログラム委員会

本格検討は昨年9月ごろから

 記者会の活動でもそうなのだが、会合場所として西新橋の事務所があるからスムーズに会議を開くことができ、かつ予算をかけずに済む。ファシリティの確保と提供は、ひょっとするとSS2012を企画・準備するに当って最大の貢献だったかもしれない。
 午後5時半から6時半がSEA活動報告と今後の予定の確認、休憩を挟んで7時半から8時ごろまでSS2012について検討された。筆者が保管しているメールのやり取りによると、SS2012についての検討が本格化したのは昨年の9月ごろ。中心的なメンバーにとっては「例年と一緒」で段取りは暗黙知、手順や役割分担は阿吽の呼吸なのだろう。ところが当方は初めてなので戸惑うことが少なくなかった。なにしろ実行委員会が何を検討し決めていくのか理解していないし、それとは別にプログラム委員会が設置されることも知らなかったのだ。それでもほぼ毎回顔を出したのは図々しいというほかはない。
 福井での開催は前回SS2011長崎直後の幹事会で決定していたので、SS2012の準備は会場探しから始まった。福井市出身の伊藤昌夫氏(ニルソフトウェア)には、JR福井駅前にある福井市地域交流センター(AOSSA)が念頭にあったのだろう。自ら現地に乗り込んでホールや会議室を視察、併せて予約方法や会場の空き状況などを確認してきた。9か月も先の会場予約を打診されてAOSSA事務方は驚いたに違いない。その情報をもとに「2012年6月12~14日、AOSSAで」が早々と決まった。

プログラム委員会で一気に具体化

 以後の経過を筆者保管のメール交信やSEAのホームページから拾うと以下のようになる。
 2011年
  ■9月28日 9月度幹事会(正式にSS2012の検討開始)
  ■10月30日 SS2012サイトを公開。
  ■11月9日 プログラム委員長・伊藤昌夫氏が福井への熱い思いを記したメッセージを発信。
  ■12月   後援・協賛団体の了解取付け開始。
 2012年
  ■1月14日 講演者、プログラム委員の概要を内定。
  ■2月1日 コアメンバーが現地視察。
  ■2月4日 ワーキンググループの募集締切り。
  ■3月1日 福井県の協賛と助成金拠出が決定。
  ■3月3日 論文・報告の募集締切り。
  ■3月10日 基調講演、招待講演に関する情報を掲載
  ■3月29日 併設イベントの企画情報を公開。
  ■4月6日 福井市でプログラム委員会。
  ■4月8日 プログラムの詳細と採択論文を公開。
  ■4月30日 早期割引の参加申込み最終日。
  ■4月23日 招待講演の詳細を公開。
  ■4月29日 併設イベントを決定。
 後援・協賛団体の了解取付けは年が明けた直後から依頼状を作成・送付、返事の確認といった作業が行われ、最終的に福井県福井市情報処理推進機構/ソフトウェア・エンジニアリング・センター、日本科学技術連盟、IT記者会、オープンソースソフトウェア協会、情報サービス産業協会、情報処理学会ソフトウェアテスト技術振興協会、ソフトウェア・メインテナンス研究会、電子情報通信学会、日本情報システム・ユーザー協会、日本ソフトウェア科学会、福井県情報化支援協会、福井県システム工業会の了解を得ることができた。福井県福井市および福井県情報化支援協会、福井県システム工業会の後援・協賛に当っては、ローカルアレンジメントを担当した伊藤昌夫 (ニルソフトウェア)、坂本憲昭 (福井大学)、吉田俊之福井大学)の3氏の尽力による(福井県情報化支援協会については筆者から同協会のキーマンにプレアナウンスしたことが少しは奏功したかもしれない)。
 おおまかなプログラムが定まるなど、SS2012の全体像が見えてきたのは4月6日、福井市AOSSA会議室で行われたコア・メンバーによるプログラム委員会である。論文発表は1篇当り8分、基調講演は玉井哲雄氏(法政大学)、クロージング講演は牧野淳一郎氏(東京工業大学)ということで確定したが、招待講演はこの時点では未定だった。引き続き永平寺にお願いすることとし、これも5月に入ってOKとなった。
 実行委員会、プログラム委員会と並行して、各ワーキンググループ(WG)は個別に参加者を募集し、それぞれのチェアマンがテーマと運営内容を考える。事前にポジションペーパーの提出を求めるWGもあれば、事例・研究発表をもとに意見を交換するWGもある。
 WG4が併設イベントを企画したのは、そうしたSSの自由度を示す好例だ。同WGは概要として、「ICSE2012 の基調テーマ“Sustinable Software for a Sustinable World”に呼応して、ソフトウェア開発における「持続可能性」(Sustinability)について討論する」を掲げ、「Web Magazine“ArtPulse ”掲載のエッセイに提示された設問をソフトウェアに置き換えて,参加者全員で回答を考えることにしたい」としていた。併設イベントは講演と実演を通じてその具体例を知る目的で、県民ホールで開催された。